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Last Update:2019/7/10
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コラム 中国ビジネス噺

第12回 中国での人材確保とリテンション(1)

(2019年7月10日)

  中国でも日本でも人材の確保は企業にとって経営の基本であることには違いはありません。
  中国と日本の人材採用に関しては基本的に大きな違いがあります。
  中国では以前は国有企業の採用が中心であったことから縁故採用が多かったというのが事実です。国有企業では社宅・病院・学校・商店が企業を取り囲み、企業を中心としたコミュニティが形成されていることが多く、従業員の子弟はこのコミュニティの中で生まれ、教育を受け就職するケースも少なくないのです。
  このような環境の中にあっては、縁故による採用というよりごく自然に、親子・兄弟・親戚が同じ企業で働くという現象が起きます。
  近年では、以前のような国有企業の立地条件から、整備された郊外の開発区に企業が移転したり、外資系の企業が新たに土地を手当てして会社を設立したりするケースが増えてきたことから、以前の企業城下町のような文化は少なくなってきています。
  しかし、人の採用については縁故を採用するという習慣は残っているのです。つまり、中国ではこのような歴史的な習慣がつい最近まで残っていましたので、縁故に当たる人を採用することはごく普通のことであり、返って知らない外地の人より信頼できると考えます。
  しかし中には、自分の立場や権利を利用して、会社の利益を無視した縁故採用を企む人や、役所の役人から権力を盾に親類の採用を強要されること等、多々あるのも現実です。
  日本企業では、新卒採用にしても経験者採用にしても、採用担当者の手を経て複数の試験や面接により、より客観的に人を採用するプロセスが創られているため、縁故紹介というと裏口採用という意味にとられがちなので、ここに日中間での認識の差があります。
  中国に進出している日系企業では、現地でこのようなケースがあるとすぐに縁故紹介が悪い事だと思いがちですが、日中双方で採用方式について客観的かつ合理的なプロセスを創り、お互いに納得した上で採用を行うことで解決できます。
  つまり、日中共通理解での採用プロセスに従って実施された採用選考で、結果として会社の関係者や子弟が採用されたとしても、あくまで個人が評価された結果ということであればお互いに納得できるはずです。
  日本側が、従業員の関係者や会社の関係先からの紹介というだけで、当社では縁故採用はしないという観念で頭から排除しようとすると、中国側から見ると違和感を覚えることになります。
  お互い理解したうえで、ルールを創り公正な選考を実施することで双方の理解が得られるものと思います。

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