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Last Update:2021/5/13
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コラム 中国ビジネス噺

第34回 これから中国へ赴任される方へ(6)

(2021年5月13日)

   中国の国土が広大であるということはお察しの通りですが、それぞれの「地域性」については歴史的に積み重なって出来上がった文化や思考パターンがあり、多岐にわたって留意する必要があります。
 まずは言葉です、同じ漢民族同士でもそれぞれの土地のアクセントがあり、中国人でも現地の言葉では理解できない場面もあります。ましてや民族が違えば当然理解できずに、現地の方に間に入って通訳をしてもらうこともあるほどです。
 ここで問題は、話す言葉によって地元人かどうかはすぐにわかることです。地方都市に行く場合、旅行でも仕事でもこちらの言葉を聞いて、地元人でないことはすぐにわかってしまうので、仕事の後の食事でも観光でも、現地の知人に入ってもらいアレンジを依頼できればトラブルに巻き込まれるリスクはかなり低いでしょう。往々にして、地元人でないとわかると、レストランでも法外な金額を請求されたり、非常にサービスが悪いというようなトラブルに会うことも少なくありません。
 次には、中国国内にもある地域による差別的な感覚です。
 実例をあげましょう。1997年に私が赴任した場所は安徽省でした。産業の中心は農業でGDPは下から2番目という経済状態であったことから、多くの農民が上海や北京へ出稼ぎに行っていました。
 中国では戸籍の問題があり、当時は今よりはるかに他地域への異動が制限されていましたので、出稼ぎといっても正規の職にはつけず、男性は工事現場などの労働、女性は保母(baomu)と呼ばれる家政婦の仕事が中心でした。
 このような状況は内陸の四川省でも同じ状態でしたので、上海・北京で安徽省・四川省出身というと出稼ぎ労働者というイメージが強く、下に見るという感覚があり、受ける方にも都会人に対する劣等意識があったと思います。
 安徽省を本拠地としてスタートした会社は、2年ほどして営業会社を上海に立ち上げ、安徽省から営業メンバーを移動させましたが、上海で地元採用した上海人と上手くいきません。勿論、上海人は上海語でも話しますし、安徽省から移った人にはやはり安徽省の方言があるのです。
我々はここで、思いもかけない中国の歴史的なネックに初めて行き当たりました。
 また、逆に上海出身の営業マンが安徽省や四川省へ出かけると、現地からは煙たがられ、商談はうまくいきません。
 現在では、戸籍の問題も緩和され、人の移動も自由になり状況はすっかり変わっているように思いますが、就職や結婚のような場面では、今でも出身を気にする年配者もいるようですので留意する必要があるでしょう。

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