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Last Update:2021/12/16
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コラム 中国ビジネス噺

第41回 これから中国へ赴任される方へ(13)

(2021年12月16日)

   12月に入り今年も年末に近づいてきました。中国で生活されている日本人にとって12月13日は気を付けなくてはならない特別な日でした。この日は1937年に日本軍が南京を占領した日で、「抗日記念日」として2014年に国家レベルの法定記念日に定められています。今年も中国国内で記念行事が行われたという報道がありましたが、中国在住の日本人は、外食や商談の場で言動には注意して、思わぬトラブルに巻き込まれないよう注意することが必要です。特にこのような特別の日の前後では報道の規制も行われ、衛星放送等の視聴が一部で制限されるようなことも起こりますので予め心つもりして生活しないといけないでしょう。
 中国では一般市民がこのような国家レベルで行動を扇動する動きがある中で生活してきた事も要因かと思われますが、人々の気質にも影響を与え、日本人の考え方のベースにあるものと異なっている部分が多々あると感じています。日本人はビジネスの世界でも長期的な目線で物事を判断する習慣がありますので、事業計画も「長期計画」を立てたり、人事面でも長期的にキャリアパスを考えて育成計画を立てることが考え方の基本になっていると思います。これは、基本的に国の制度や法律が今後大きく変化することは無いという安心感から、長い目で見たビジョンが生まれるという事に繋がっているためで、国の制度や法律、企業のルールに対する信頼感を大前提にした行動習慣だということが言えるでしょう。
 中国だけでなく、海外の様々な制度や法律には、不安定でいつ変更があるかどうかわからないというケースが多々あるのは事実です。このような不安定な国情の中でビジネスを継続していく場合、常に変化に対応する警戒心と準備が必要でしょう。
 人事においても同じことが言えます。日本の人事考課においては、長期計画に基づいて人事異動を決定し、必要なキャリアを積むことで将来のリーダーへ育てていくという考え方で遂行されますが、中国では人の評価が一定しないことが良くあります。一度この人材を、と決めて育成計画に組み込んでも期待通りの取り組み姿勢が見られず、結果として辞めてしまう例もあることから、一度高い評価を得た人材であっても、完全に頼り切ってしまうと、急に辞めて職場に穴が開き、思いがけないピンチになることもあるので常に対応策を準備しておく必要があります。逆に将来の見込みが薄いと思われた人材が急速に成長して中心的な役割を担えるようになるという例もありますので、中国では一度の評価が将来に渡って安定するものではないことを認識する必要があります。

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