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コラム 中国ビジネス噺

第7回 社内のコミュニケーション醸成と通訳(2)

(2019年1月31日)

  中国でビジネスをする場合の「通訳」は特殊な業務といえます。
  金融や商社等では商習慣として英語を使うことも多いので、通訳に頼るケースは少ないと思いますが、メーカーの工場の現場などでは切実な問題です。
  工場では、作業の指示だけでなく作業安全の面でも作業者へ適切な指示をするために、日本人指導員に通訳を付けることがあります。
  また、設計や経理等にも通訳は必要で、多くのメーカーが通訳専門のスタッフを採用しています。
  日本企業の駐在員はこの「通訳」を使うことに慣れていないことが多く、適切にアドバイスしないと現地スタッフとの間にコミュニケーションで大きなミスを犯してしまうことがあります。
  私のいた工場の日本人設計部長の例です。
  このA部長は李さんという通訳を大変気に入って、いつも帯同して業務を行っていました。ある時A部長が午後から出張に出かけることになりました。会社の規定では上司が出張で不在の際には通訳は帰宅いただくか、翻訳などの仕事を指示することになっていましたが、A部長は李さんに部下に対していくつかの業務を指示しておくように託して出張してしまったのです。
  A部長も慣れてしまい度々李さんに業務代行を託するようになり、かくして李さんは設計部の担当者を呼んで、A部長に代わって業務の指示を出すようになってしまいました。
  李さんは勿論「通訳」として採用されたので設計のプロではありません。部下のみんなは不満が募り、A部長の言うことを聞かなくなってしまいました。
  このような状況が社内で問題になりましたので、A部長に通訳である李さんのローテーションを提案しました。社内では「通訳」のローテーションは普通のことで、上記のようなトラブルを防ぐために定期的に行っています。
  ところがA部長は自分のやり方を変えたがらず、李さんでないと仕事が出来ないのでローテーションには応じないという見解で、一向に拉致があかない状況に陥りました。
  一方、設計部ではスタッフの不満が爆発して、李さんとトラブルになってしまい、A部長の思いとは関係なく、李さんはあっさり辞めてしまいました。
  A部長の例は「通訳」を色々な面で頼ってしまい、「通訳」としての業務から逸脱した取り扱いをしたことがこのような結果を招いたと言えます。

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