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(2025年5月8日)
5月に入りまして、中国では1日から5日まで労働節の連休がありました。今年は15億人近い人が中国国内を移動したという報道もあり、各地の観光地や高速道路が大混雑であったと聞いています。皆さんの周りではいかがでしたでしょうか。 このような報道に接しますと中国の経済は回っているように見えますが、一方で若い世代には様々な問題が起きていることも報道されています。まずは深刻化する若年層の失業問題でしょう。これは大卒者の急増と雇用ミスマッチが主要因とも言われておりまして、コロナ前は10%程度だった失業率が最近では21.3%と過去最高の水準になったようです。 中国は多くの人口を抱えておりますが、中国でも少子高齢化による労働人口の減少が起きています。そして教育熱の激化により高度教育にかかる費用の増加がさらに少子化を進める要因にもなっていると思われます。競争を勝ち抜いて有名大学を卒業しても雇用のミスマッチなどで実際には失業率が上昇しているというのが現状です。 産業構造も変化しています。全体として第二次産業が減り第三次産業にシフトしています。これまでけん引していた製造業の従事者は減って、高齢化を反映した医療、福祉分野。そして飲食サービス業就職者が増加している傾向です。このような中国国内の経済環境の変化を受けて日本企業の中国進出にも以前とは異なった状況が生じています。中国進出日本企業は2024年で13000社とピーク時からは10%ほどの減少となっています。内容的には製造業を中心に撤退が1200社程度あったことに対して製造業、卸売業の新規参入が同程度ありトータルでは微増という統計数字になっています。全体としては日本からの進出は建設業、医療、飲食サービス業比率が高まっている傾向で中国国内の産業構造の変化を反映している状況になっているといえるでしょう。 日本企業の中国進出の構造変化は、上海市への進出企業がこの2年間で約1000社、全体の10%の減少となる等従来進出企業が多かった中国沿岸部の減少が目立っており、製造工場、物流施設、事業の中心的施設等の減少が進んでいるようです。他方、増加は卸売業、ソフトウェア系のIT産業、金融保険業等が内陸部を中心に増えているようです。日中でビジネスを展開している企業としましては、このような中国国内経済状況の変化に対応して、若者の力を企業に取り入れていくためには新たな雇用システムを考えていく必要があるでしょう。
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