バックナンバー一覧

コラムに関する感想
お問い合わせ
Last Update:2025/6/12
トップ中国ビジネス噺
コラム 中国ビジネス噺

第83回 これから中国へ赴任される方へ(55)

(2025年6月12日)

   
 今年も年半ばに入ってきました。中国の「外国人所得税」取扱いにつきまして、2019年に発令された免除措置が昨年末で終了した為注意する時期になりました。現在中国に1月から駐在している方は6ヶ月を経過しますと今年度の滞在が183日を超えることになりますので、もし連続6年以上連続駐在されている場合注意が必要になります。
 中国の法律では、中国に居住する外国人に対して、年間累計183日以上居住した場合、全世界所得に対して課税されるという規定があります。国務院令によりますと、「183日以上居住年度が6年未満の場合」は主管財務機関への届け出を条件に、国外源泉所得に対する課税が免除されます。これは通称「6年特例」といいます。この「6年特例」は2019年からカウントが開始され、それまでの居住期間は考慮しない規定になっているために、2019年から6年後の2024年つまり昨年度までは課税免除期間となることから、昨年度までは全世界所得に対して課税対象となる外国人はいなかったことになります。このことから直近6年間はこの規定の免除股間となっていたために、中国に居住する全ての外国人は中国国内支給分の所得に対してのみ課税されていました。しかし今年からは免除期間が終了したために6年以前の規定が適用されることになるために注意が必要です。
 具体的にはどのようになるでしょう。1年間に連続居住日数が183日以上の外国人が、2019年以降6年間連続して中国に居住した場合は、2024年度で免除期間の6年を経過するために、2025年度に183日以上居住したときに全世界所得に課税されることになります。ただし、例外的にある年度において30日以上中国に居住していない場合には、6年特例がリセットされるルールになっていることから、翌年度から改めてカウントすることになります。つまり、2019年から毎年183日以上連続居住している外国人は、2025年7月以降居住した時点で全世界所得課税対象となります。
 また、日本側の対応としましては、全世界所得に対する課税をする場合、日本側で支給した給与と賞与等の収入につきまして、本規定による駐在員本人の不利益を補填するために、一般的には本人給与をグロスアップして支給する等の対策をしています。私たちが駐在していた2000年当初はこのような規定が確立されていなかった為、国外の所得の取り扱いについては混乱しておりましたが、その後中国でも全世界所得課税が適用され2019年までは実施されていたという経過があります。6年の免除措置が取られたことで事務的に慣れていない面もあると思いますが、以前は対応していたことなのでノウハウは社内にあると思いますので確認されるとよいと思います。また、中国の現地当局や近い日系企業の対応等も確認されるとよいでしょう。                                    以上

※サイトの記事の無断転用等を禁じます。


© Copyright 2002-2016 GLOVA Reserved.  
"chinavi.jp" "ちゃいなび" "チャイナビ" "中国ナビ"はGLOVAの商標です。 s