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Last Update:2025/11/13
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コラム 中国ビジネス噺

第88回 これから中国へ赴任される方へ(60)

(2025年11月13日)

   
 中国の大学卒業者の就職活動は前年の秋から始まり翌年の春までには固まって、7月前後に卒業すると9月10月には新卒として会社へ就職する流れになっています。皆さんの中国現地会社でも既に今年の新卒者が入社されているのではないでしょうか?日本と中国の新卒採用の違い、新卒者の考え方の違いについてみてみましょう。日本の役所や企業では伝統的に大部分の採用が新卒者採用で賄われてきていますが、近年では経験者採用や、第二新卒と呼ばれる純粋な新卒者ではないカテゴリーの採用枠が広がってきています。これは終身雇用、年功序列といった雇用制度が見直され、同じ組織に長くいることのメリットだけでなく人材の流動性や他分野からの人材の活用など雇用形態が多様化してきたことが背景にあります。
 中国では以前から新卒のマーケットはありましたが、そもそも終身雇用、年功序列が前提ではなく、新卒、中採いずくの期待を背負って育った世代です。彼らは「地位」「権力」が成功の証として親に報いるために努力しています。れにおいても実務経験や過去の実績を重視しています。基本的に中国人の就職の考え方は日本人とは異なっています。日本人の就職意識はその会社に所属することに大きな意味が有り、組織の中でどのような職務に就くか、又将来のキャリアデザインも会社に委ねている為、社命による職種変更や転勤等は不合理な理由がない限り従うことになっています。日本の新卒採用は所謂「総合職」採用と呼ばれるもので、入社時には特別なスキルを要求することなく入社後に様々な職種を経験する中で会社に貢献してもらおうという目的から、専門性よりは人柄や将来性を重視するポテンシャル採用と言えるでしょう。一方、中国人の働く考え方は、個人のスキルや経験がストレートに給与や待遇に反映されることを求めているので「総合職」という概念はなく「ジョブ型」採用が主流です。年齢や勤務年数という事はあまり重視せず能力面に比重を置いた評価を望みます。従って、新卒者だからと言ってただ卒業すればよいという事でなく、インターンシップ等の経験を積んだり、専門の資格の取得やより実践的な大学院の卒業資格を取る等いかに実戦経験があるかを重要視しています。
中国現地会社で現地社員を採用するに当たりましては、このような就職概念の違いを認識して採用することは勿論ですが、入社後のキャリアパスにおいてもこのような考え方の違いを踏まえて対応することがポイントです。成果に対して何の評価もなかったり、本人が目指す専門性を活かせない職種に就くという事はモチベーションを下げることになります。日本型の経営では当たり前でも中国人の価値基準に合わない職務を続けるとそれが離職に繋りますので、中国では日本以上に本人とのコミュニケーションを取りながら会社の方針と個人の目標のマッチングを図ることが必要です。                                    以上                                  

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