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(2017年9月27日)
9月11日から14日まで上海に出張した。目的は、商業賄賂に関する刑法及び行政法の関連条文の解釈及び実務の動向調査と華東政法大学法律学院における「日本の行政型ADR《に関する講義であった。 華東政法大学法律学院の大学院のキャンパスは、上海市長寧区の中山公園の隣にある。昨年(2016年)に訪問した際には、中山公園に隣接する上海巴黎春天百貨(プランタン)のレストラン街で華東政法大学の先生にご馳走になった。今回、地下鉄の中山公園駅で下車したところ、中国人の「上海巴黎春天百貨が閉店しちゃったね。《という会話が耳に入ってきた。百貨店を代表とする小売業が、ネットで商品を購入する消費者が増えたことから、従来の店舗における対面販売が成り立たなくなってきているようである。 今、固定資産投資や輸出に代わって消費が中国経済を支えるようになってきている。2017年上半期の経済成長に対する消費の貢献度は60%になっている。 ただ、市民の消費のパターンが変化してきている。小売業は、この変化に対応しなければならない。では、どのように対応すれば良いのか。 そのモデルになるのが、例えば、上海七宝万科広場である。同広場には、スーパー、映画館、子供の教育施設、フィットネスジム、レストラン、花鳥市場、ボーリング場、卓球場などがある。こうした商業施設で、買い物は売上の10%しか占めていない。飲食が30%である。モノの消費からコトの消費へと消費構造が転換し、多様化していることが分かる。 上海七宝万科広場は、創業1年足らずで各種の目標値を超過達成している(経済参考報 2017年9月14日)。現在、1日あたりの来客数は平日が5〜6万人、週末が8〜9万人、春節などの大型祝祭日には10万人を超え、1日の売上げが1,000万元を超えた日もある。 ただ、業態の転換でこのような成功を収めているからそれでいいと言えるかというと否である。消費者の消費に対する質は向上している。商品についても高品質の商品を求めるし、若者は個性を重視するようになってきており、この場合には品種も増やさなければならない。人気のあるブランドが常に変わり、短命で終わるブランドが少なくない。ニセモノ、劣悪商品を撲滅し、品質向上を図るために、品質・環境保護などの監督管理部門の責任も重くなる。
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