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Last Update:2017/11/22
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コラム『チャイナウォール』*中国人の法意識*

 第344回 “一帯一路”と法整備

(2017年11月22日)

  中国商務部は、2017年10月9日に“一帯一路”経済貿易の進展状況についてのプレスリリースを行なった。商務部によると、(1)貿易、(2)投資、(3)重要プロジェクト、(4)国外経済貿易合作区(工業団地)、(5)自由貿易区に関して、主に以下の通りの成果がある。
  (1)貿易面では、ロシア、モンゴル、ベトナム、キルギスタン、サウジアラビア、エジプトなど23カ国の最大の貿易相手国となっている。中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列《は、累計4,000便に達し、ロシア、ドイツ、ポーランド、スペインなど11カ国の29都市を通り、携帯電話、コンピュータなど電子部品を始め、アパレル、日用品、食料、工業製品、自動車部品などを輸送している。
  (2)投資面では、は、以下の実績がある。2014〜2016年の中国企業の沿線国への累計投資額は500億ドルを超え、工事請負額は3,049億ドルとなった。2017年1〜8月の直接投資額は85.5億ドル、工事請負額は845.1億ドルと対前年同期比21%増えている。
  (3)重要プロジェクトに関しては、中国・ラオス高速鉄道建設、パキスタン・崑崙高速道路建設、カラチ高速道路建設のほか、ロシア、カザフスタン、ミャンマーなどの国との石油パイプライン建設・運営プロジェクトが進展している。
  (4)国外経済貿易合作区は、24の沿線国に75箇所建設され、3,412の企業が入居し、投資受け入れ国に22.1億ドルを紊税し、地元に20.9万人の雇用を創出している。
  (5)自由貿易区も地域の一体化を加速させている。沿線国、ASEAN、パキスタン、シンガポール、グルジアなどと自由貿易協定を締結している。
  では、“一帯一路”構想は、現時点の政策を進めていれば難なく進展すると言えるか。そうとは言えない。今後、“一帯一路”構想をさらに推進するためには、関連法の整備が欠かせない。この法には、国際法と国内法の2つがある。
  国際法については、貿易・投資についてWTOルールで承認されている国際法の順守という他に、“一帯一路”沿線国との二国間条約の締結が欠かせない。とりわけ投資保護協定の締結と、投資に関して紛争が生じた場合の国際投資仲裁制度の適用が問題となる。また、アジア・インフラ投資銀行及びシルクロード基金など金融機関に関して、関係各国と協議しながら国際金融法整備をすることが必要である。
  国内法については、海外投資法の早期制定が望まれる。また、対外開放、外資の誘致をさらに奨励し、自由貿易区を急速に設置していることから、外資導入関連法の修正や整備が必要になる。国際法と同様に紛争発生時の処理法としての外国・渉外貿易・投資仲裁制度を整備し、内外企業に対する公正・公平な適用が望まれる。

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