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第1000回 6中全会「歴史決議」を巡って-その4-

(2021年12月23日)

 第4章(四)「改革開放の全面深化」では、1978年の11期三中全会は改革開放と社会主義現代化建設期の幕開けとなった画期的な会議、18期三中全会は、経済・政治・文化・社会・生態・軍・党などの改革を総合し系統建て、その方式・タイムテーブル・ロードマップを示した画期的な会議、と定義しています。(五)「政治建設」では、西側の「憲政」、「多党制」、「三権分立」への警戒と中国独自の社会主義制度、民主制度の確立を強調、人民代表大会の機能と少数民族自治制度の充実を挙げています。(六)「全面的な法治化」では、18期4中全会以降の法治建設を紹介し、その成果として民法・外商投資法・国家安全法・監察法・国防法・環境保護法などを列挙しています。(七)「文化建設」では、拝金主義、享楽主義、個人主義、虚無主義など社会風紀の是正と、中国精神・中国的価値・中国的パワーによる社会主義文化強国の建設を挙げ、その一環として、党の思想教育、特に大学に対する強化に字数を費やしています。(八)「社会建設」では、“幼有所育、有学所教、労有所得、病有所医、老有所養、住有所居、弱有所扶”といった社会保障の充実、貧困撲滅の実現、コロナ対策の万全を挙げ、収入の分配、“德智体美労”教育や職業教育の充実にも言及、更に、10億2000万人の基本養老保険と13億6000万人の基本医療保険の整備、医療改革の普及、国民の健康と人口問題への取り組み、身障者対策などが紹介されています。(九)「生態文明建設」では、緑色・循環・低炭素発展など、環境汚染・破壊の防止、緑化推進といった取り組みを紹介し、2030年前に二酸化炭素排出をピークアウト、2060年までにカーボンニュートラルを実現すると約束しています。(十)「国防建設」では、2027年に建軍百年の目標達成、2035年に国防と軍の近代化をほぼ実現、21世紀半ばに世界一流に、という三段階戦略を策定、周辺の海空防衛の強化、台湾独立の阻止を述べています。(十一)「国家の治安」では、外部からの浸透に注意を喚起し、香港・台湾・新疆・チベット・海洋を重点に挙げています。(十二)「一国二制度の堅持と祖国統一推進」は従来通り、(十三)「外交活動」は、特色ある大国外交の推進を謳いつつ、理念的な標榜に止まり、特定国を名指しした批判は避けています。第5章以下の美辞麗句はさて置き、この4章の内容から、何をやり、何を目指して新歴史決議を出したか、我々はどこを評価し、どこを注視すべきかが見えてきます。       
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次回は1月6日更新予定 テーマは<未定>です。

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