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第1001回 2021年末中央経済工作会議-その1-

(2022年1月6日)

 毎年12月末に開催される中央経済工作会議は、翌年一年間の経済政策の方向付けをする重要な会議です。習近平政権成立後初の2012年の会議では、都市と農村の格差是正と科学技術の振興が、2013年では市場化の見えざる手の育成と技術革新の更なる深化が、2014年ではバブル経済の是正とソフトランディングが、2015年では習による国務院の制圧と経済主導権の掌握に伴う経済活動に対する党の指導の強化が、2016年では政府の機構改革と十九全大会への布石が主たるテーマとして提示されました。       
 2017年の党大会を経て、習第二期政権に入ると、同年12月では党の指導の強化と供給側の構造改革、貧困脱出と汚染防止が、2018年では市場化改革の深化と許認可権の下放、混合所有制推進 、及び“六つの安定”(就職・金融・外資・投資・予測の安定)が、2019年では2021年目標(全面的小康)へ向け、第13次5カ年計画の成功と習の核心化が、2020年には米中関係とコロナの影響下、六つの維持(就職、民生、市場主体、食料とエネルギーの安定、産業チェーンとサプライチェーン、社会の末端組織経営)、及び新たな発展段階・理念・枠組みに立脚する呼びかけが行われました。       
 では、2021年12月の中央経済工作会議は、2022年の取り組みとしてどんな内容を提示したのでしょうか。まず、基本的な背景として、①コロナの影響 ②百年に一度の大変革 ③国際情勢の複雑化の三点を、直面する三重圧力として ①需要の収縮 ②供給のダメージ ③景気予想の低迷の三点を指摘した上で、①経済基盤の強化 ②イノベーション能力の強化 ③多国間外交の堅持 ④ハイレベルの国際的経済貿易ルール推進の四点を主要なポイントとして掲げています。       
 その上で2022年の経済対策は大前提として、「穏」(安定着実)を第一としつつ、政策は適宜前倒して実行することを基本方針として示しました。ここで注目すべきは、「穏」という字で、例年の中央工作会議でも常に“穏中求進”という表現で登場していましたが、今回は25回も登場し、なおかつ“穏字当頭”という表現で特に強調されている点です。その背景としては、経済の下振れ圧力が強く、不動産業などのリスクが増大している事情があり、「適宜前倒し」という表現も景気対策重視の現れと言えましょう。この続きは次回に。

次回は1月13日更新予定 テーマは<2021年末中央経済工作会議-その2->です。

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