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第1011回 農村政策の動きから-その4-

(2022年3月17日)

 2019年1月、政府は同年の一号文献として<農業・農村の優先的発展を堅持し、“三農”工作をしっかり行うことに関する中共中央・国務院の若干の意見>を発出、同年に達成すべき数々の数値目標を掲げました。       
 第一には、貧困撲滅が決戦段階に入ったことを示すもので、農村貧困人口を1000万人減らすこと、300の農村から貧困村というレッテルをはがすこと、“三区三州”((三区:チベット自治区、青海・四川・雲南・甘粛4省のチベット族居住区、新疆ウイグル自治区のカシュガル地区・ホータン地区・クズルスキルギス自治州・アクス地区。三州:四川省の涼山州、雲南省の怒江州、甘粛省の臨夏州)への優先的財政投入などを掲げました。第二には、食糧生産において、食糧播種面積16.5億ムー、永久基本農業田面積15.46億ムー以上を確保する、また、高標準田について、新規増加分8000万ムー以上を見込み、2020年に8億ムーを達成する、としました。第三には、公共財政の“三農”への傾斜を強め、新規融資分は主に農村振興に充て、2020年までに13万の農村の環境総合整備を行い、90%の行政村で生活ゴミが適切に処理されるようにする、という目標を掲げました。
 2019年の特徴は、上記のような施策とともに、農村の基本構造に目に見える大きな変化が生じたことで、3月には新型職業農民が1500万を超えたことが報じられ、年末には農民合作社が220万社を超え、さらにその内容の多様化も注目されました。これに関し、政府は<農民合作社規範向上キャンペーンの展開に関する若干の意見>を通達し、その健全な発展の制度的保証を推進しています。農民専業合作社法が制定されたのは2007年ですが、違法な金融活動を目的とした「ペーパー合作社」の弊害も無視できず、「規範化」の効果が期待されます。同年末に発表された数字で注目されるのは、農業保険ネットワークが整備されてきたことです。全国の農業保険加入農家は1.17億戸に、リスク保証額も2.57兆元に達しました。
 こうして主要な政策措置が出そろったところで、2019年末の中央農村工作会議で、習近平は貧困撲滅に檄を飛ばし、全面的な小康社会を達成する2021年に向けた最終年に突入していきました。2021年以降の農村政策の新展開はまた次の機会に。

次回は3月24日更新予定 テーマは<中国とアセアン、物流の進展>です。

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