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第1017回 海南の発展と自由貿易港-1-

(2022年5月5日)

 2018年1月、本コラムで海南省(島)に触れましたが、その後3年、同省は急速な変貌を遂げ、政治経済上で占める位置も益々重要度を増しています。過去の軌跡を大雑把に回顧しつつ、新たな動きをご紹介しましょう。       
 1988年、省昇格を果たした海南省には海南経済特区が成立し、1995年からは“一省两地”(新興工業省、中国熱帯高効率農業基地、中国リゾート観光景勝地)政策を推進、2009年には国務院が<海南国際観光島の建設発展に関する若干の意見>を提起して発展に火が付き、2013年には習近平総書記が海南省を視察、中国独自の社会主義の実践模範となるよう求めました。その後、海南省では島内一周の高速鉄道や高速道路網整備など数々のプロジェクトが進められ、本格的なリゾート観光地の建設で、2017年には観光客延べ6745万人、国外観光客100万人を突破、さらに<海南省交通運輸発展三年行動計画>を立ち上げ、道路網を含めた五網(道路網+水、電気、天然ガス、光ケーブル網)の建設が精力的に進められました。
 海南省が新たなステージに入ったのは、2020年のこと。習近平総書記の「海南を自由貿易港に」という指示の下、同年6月、中共中央と国務院は<海南自由貿易行為建設総合プラン>を打ち出し、「海南全島を対象区域として2025年までに貿易と投資の自由を目玉とした自由貿易港政策の制度システムを基本的に整備し、2035年には全中国の開放型経済の新たな一大拠点とし、21世紀中葉には強力な国際的影響力を具えたハイレベルの自由貿易港を完成させる」との目標を掲げました。
 こういった新たな動きの背景には、中国の開放政策の領域が貨物貿易から金融・サービスへと多方面化し、開放地区も自由貿易試験区へと拡大、さらに一帯一路の建設にリンクした二横三縦政策による中国全土の地域発展政策に伴う物流網の整備と陸海内外連動の発展などがあります。上記の動きの中で、中国最大の経済特区であり、なおかつ重要な実験地域として、海南省には、ハイレベルの国際自由貿易港を建設することで、海外の経済・貿易に関する高度なシステムを学習し、中国が国際的な経済・貿易ルールの制定に積極的に関与し、グロ-バルガバナンスのイニシアチブを手に入れる下地を形成することが求められているのです。続きは次回に。

次回は5月12日更新予定 テーマは<海南の発展と自由貿易港-2->です。

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