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第1018回 海南の発展と自由貿易港-2-

(2022年5月12日)

 上記2020年6月の<海南自由貿易行為建設総合プラン>について、その主要な内容を国家発展改革委員会の林念修副主任は「6プラス+1+4」と形容しました。「6」とは「①貿易②投資③国境を越えた資金移動④人の出入り⑤物流往来⑥データの安全かつ秩序立った流動」の自由度向上を、「1」とは現代的産業体制の構築を、「4」とは、①税収②社会対策③法治④リスク防止を強化する制度設計を指します。現代的産業体制の構築とは、海南の特性を生かし、観光業・現代サービス業・ハイテク産業の発展を促進して実体経済を強化し、そのイノベーション能力と競争力を強化することを言います。       
 企業はどういった恩恵を受けるのでしょうか。海南省の沈暁明副書記によれば、第一は投資の自由化で、強制的基準や禁止条項に触れなければ、許認可制度は原則的に廃止し、届け出と誓約が条件を満たせば業務を開始できます。次に自由貿易区の条件をさらに緩和し、各種の制限や禁止条項を減量し、奨励業種企業には法人所得税を15%減免、海南自由貿易港に設立された観光業・現代サービス業・ハイテク産業企業には、2025年以前に新たな海外直接投資で得た収入について法人所得税を免除します。第三は商品貿易のゼロ関税措置で、全島閉鎖後、ごく一部の製品を除き輸入関税は無し、ヨットや娯楽設備の輸入はそれぞれ38%と20%の輸入税が免除され、バイオ医薬品企業が研究開発設備を購入する場合はコストの3分の1を節約できます。 洋浦保税港区など特別地域では、輸入原材料品で生産し、海南自由貿易港内で加工により30%以上の付加価値が生じた場合、同生産品が本土市場に参入する時、再度関税を支払う必要がなくなります。企業以外でも、海南自由貿易港で働くハイエンドか人材不足分野の人材の場合、183日間滞在すれば、個人所得税の15%を超える部分が免除されます。観光客は免税ショッピングの額が現在の1人年間3万元から10万元にアップし、免税品の種類も拡大されました。また、種子・海運・通信・ビジネスサービス・金融・医療・教育・文化・スポーツなどの開放も強化され、基礎通信の秩序ある開放、海外証券・先物・ファンド運営機関による独資または合弁の金融機関設立も支援対象とされています。
 こうした海南自由貿易港発展政策の意図が「香港の凋落を策すものではなく、相補的に発展させることにある」とは言うものの、一方で台湾との競合関係も懸念されます。

次回は5月19日更新予定 テーマは<デジタル経済発展政策>です。

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