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第1019回 デジタル経済発展政策-1-

(2022年5月19日)

 2021年12月12日、国務院から<第14次5か年計画デジタル経済発展プランの通知>が出されましたが、その内容を把握する前に、ここ三年余り、中国で急激に高まった「デジタル経済化論議」に目を向けてみましょう。       
 2020年に突如発生したコロナ禍は、その対策を進めるうえで、中国のみならず、世界各国にデジタル技術の持つ価値を十分見せつけました。特に広大な中国では、医療物資のスムーズな分配や患者の把握にデジタル技術は不可欠でしたし、教育分野でも、教育部は、全国1.8億人の小中高校生にくまなく無料でネット学習の場を提供しました。これをきっかけにデジタル技術が新たな経済成長のけん引力として一層認識されるようになりました。
 今、習近平総書記の号令の下、中国は、現段階を、集中的にデジタルインフラ建設を進める時期と規定し、ネット化・デジタル化・スマート化を今後進むべき重要な道筋として捉えています。そして、デジタル化を産業デジタル化とデジタル産業の複合的発展プロセスとして把握し、産業構造においては中小企業のデジタル化を進めるとともに、地域的にはこれを都市のみならず農村に広げ、農村のデジタル化を進めることも急務としています。
 しかし、中国のデジタル経済は、コロナ発生前の2019年時点ですでに35.8兆元と、GDPの36.2%を占め(<中国インターネット発展報告2020>)、世界のトップレベルにありました。また、ネットユーザーは9億人を超え、ECの規模も連年世界一で、世界ユニコーン企業上位500社には119社がランクインしていました。農村部でも、中国の都市と農村におけるネット普及率の差は24.1%に縮小し、全国の貧困村の光ケーブル普及率も98%に上昇していました(<第46次中国インターネット発展状況統計報告>2020年9月)。
 その後、2021年8月時点では、全国に103.7万か所の5G基地局ができ(全世界の70%以上)、端末数は4.2億前後(全世界の80%以上)で、農村でも4G普及率は99%に達し、モバイル決済、ネットショッピング、オンライン学習、オンライン手続きは当たり前になりました。当然のことながら、5Gやインダストリアルインターネットの製造業への活用も急ピッチで、様々な分野で多くのプロジェクトが進行しました。その中で発表された、<第14次5か年計画デジタル経済発展プランの通知>の内容やいかに、それは次回に。

次回は5月26日更新予定 テーマは<デジタル経済発展政策-2->です。

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