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第1023回 陸のシルクロードとウクライナ問題-その2-

(2022年6月16日)

 ウクライナ問題を考える上にも、ウクライナが中欧陸上輸送の沿線にあることから、「一帯一路」における陸のシルクロード、とりわけ欧州とを結ぶルートの発展経過を大まかに押さえておく必要があります。       
 2011年3月に重慶とドイツのデュッセルドルフを結ぶ初の中欧コンテナ輸送列車(新疆-カザフスタン-ロシア-ベラルーシ-ポーランド-ドイツ)が出発して以降、西部の西安・成都、中部の鄭州・武漢、東部の蘇州・杭州などからも続々と中欧コンテナ輸送列車が出発するようになりました。その中で、“漢新欧”、“義新欧”などと、間に“新”が入るのは新疆中継ルート、“蘇満欧”と間に“満”があるのは、中国の北の玄関口、内モンゴル自治区満州里を経由してシベリア鉄道へ入り、ヨーロッパに至るルートというように、そのルートは現在、西部ルート、中部ルート、東部ルートの3本に分かれています。西部ルートは江蘇省の連雲港から新疆ウイグル自治区の阿拉山口・霍爾果斯(コルゴス)を通り中央アジアからヨーロッパへ。中部ルートは華北から内蒙古自治区の二連浩特(エレホント)、モンゴル人民共和国のウランバートルを経由してロシア、ヨーロッパへ。東部ルートは東北地域から満州里を通り、ロシア、ヨーロッパへつながります。ただ、これらのルートには、ロシア、モンゴルが広軌であるのに対し、中国は標準軌で、国境での切り替えが必要になるとか、複数の課税区域を通るといったようなネックもあります。
 出発地や目的地も年々多様化しています。2017年には、国際的卸売市場の浙江省義烏から新疆-中央アジア-ワルシャワ-ベルリン-パリを経由してスペインのマドリッドに至る世界最長のコンテナ輸送列車が出発し、2018年には、武漢から出発した列車がデュッセルドルフで別れてイギリスのロンドンへと向かい、このほか、イタリアやオーストリアに向けても出発、2022年には目的地がヨーロッパ23の国々、180都市にまで及んでいます。また2018年には、江西省の景徳鎮からモスクワへ向けても出発して話題となりましたし、同年には、それまでの西部・中部・東部の都市に加え、南部の福建省厦門からも出発するようになり、いよいよ海のシルクロードとの連結が始まりました。こうした中、ウクライナ問題とそれに絡む中央アジア諸国との関係がこのルートとどう絡んでくるのでしょうか。

次回は6月23日更新予定 テーマは<陸のシルクロードとウクライナ問題-その3->です。

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