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第1028回 食の話題あれこれ

(2022年7月21日)

 “王者以民人为天,而民人以食为天”(『漢書』)、すなわち“民以食为天”「民は食を持って天と為す」は中国で食を語るときには必ずお目にかかる言葉です。中国人の食にかける情熱は、基本的な衣食の問題というレベルを超えてまさに文化そのものであり、古くは『尚書』に凝った料理の記載があるほどで、人民日報にも様々な食に関する記事が溢れています。       
 2019年8月24日の記事は、万里の長城の西の端、河西回廊に位置する嘉峪関の壁に描かれた魏晋時代の食を紹介しています。壁画全体の三分の一にあたる162幅が食に関係し、そこには、醸造・屠殺・調理・献上食・宴席などの様子、また、厨房内部や蒸す、煮る、炙るといった調理法、さらに料理の盛り付け、宴会の作法に至るまで実に豊富な情報が盛り込まれているとのこと。2017年4月9日の記事は、北宋時代の「清明上河図」についてで、火の使用が禁じられた寒食節が終わった最初の日の街の様子を分析し、当時の食をつぶさに紹介しています。
 中国では農暦に基づく各節句に代表的な食があります。2015年9月27日の記事は秋の節句の食を紹介したもので、立秋には体力回復に“紅焼肉”(“紅”は醤油味)を、処暑には肥えたアヒル料理(例えば北京ダック)を、白露には福建一帯は竜眼、南京は白露茶など各地で独自に健康食を、秋分には北方ではカボチャ粥、南方では野摘みの菜に魚を加えた“秋湯”を、寒露の重陽節では菊花酒と“登高”「出世」になぞらえた“登羔”を食べるなど。
 現代の中国は伝統料理の再発展と外国料理の流入でまさにグルメ大国となり、2012年放映の“舌尖上的中国”がその先陣をきりました。最近では「風味人間」、「早餐中国」、「風味原産地」といったネットドギュメンタリーも続々出現しました。この20年くらいで大ブレークしたのがザリガニ。日本人はその名称から不衛生と思いがちですが、中国語は“小龍虾”「小龍海老」。“龍虾”が伊勢海老ですからイメージが悪かろうはずがありません。2022年1月14日に13面全面を使って「ザリガニが大産業になった」という記事が載りました。それによると、全国の2020年生産量は239.37万トンで、湖北省潜江市はその一大産地。稲作と共作することで、雑草を食べ、土を柔らかくしてもらえるとのこと。しかも、殻は薬用カプセルに加工され、その肉より利益が多いというのですから一石三鳥です。北京ではザリガニ食堂街も出現して、コロナ前は大繁盛でした。是非コロナを克服して復活してもらいたいものです。

次回は7月28日更新予定 テーマは<障碍者対策の現状>です。

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