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第1035回 中医薬にまつわる新動向

(2022年9月8日)

 本コラムでは、2018年の第807~809回にわたり、中国医学の最近の動向を紹介しましたが、4年半が経ち、現在はどのような点に力が入れられているのでしょうか。
 2016年に、「2030年には中医薬の社会貢献を全面的に実現しよう」という中医薬産業における初の国家レベル戦略プラン<中医薬発展戦略プラン綱要(2016-2030)>が公布されたのち、2019年10月には、国務院から<中医薬伝承革新発展に関する意見>が出されました。その内容は、まず、中医薬提供機関構築の強化で、国家中医学センター・地域中医医療センターを中心とし、各行政レベルの中医医療機関や他の医療機関の中医科を骨格にして末端医療衛生機関を配置し、2022年までに県レベル中医医療機関を全国に設け、社区(地域コミュニティ)衛生サービスセンターや郷鎮衛生院などに極力中医館を設置し、中医医師を配備する、というもので、これと並行し、大衆の健康増進面で中医学の独自の役割を発揮させ、質の向上と関連産業の発展を促進し、人材を育成すると同時に、中医薬の伝承・開放・革新もテーマとして掲げられました。同月25日に北京で開催された全国中医薬大会で習近平は、「中国医学は中華民族の数千年にわたる健康養生理念とその実践経験が含まれている中華文明の宝である」と指摘、これを守り発展させ、健康な中国の建設に貢献するよう指示しました。
 こうした動きに合わせ、関連した様々な分野でも取り組みが進んでいます。2021年、国務院は、<中医薬の特色ある発展の加速に関する若干の政策措置>を通達し、その中で、師弟制度の重要性を強調、臨床教育に全面的に取り入れました。北京医科大学ではさらに、高い技術と仁愛の精神を兼ね備えた民間の中医医師を積極的に招聘しています。薬材についても各地で生産への取り組みが盛んになっており、貧困人口の増収と結びつけて栽培を奨励している地方もあります。また、2022年初頭、湖北省を中心とした19省が連合して漢方薬材の集中買い付けを実施し、応募企業157社182品目中、97社111品目が合格し、その平均価格は従来より42.27%下落し、中には下落幅が82.63%に達したものもありました。一方、歴史に埋もれていた名処方の発掘も進んでいて、近年、103冊の古典に記載された10万余りの処方の選別が進み、2018年にはそのうち100種が国家中医薬管理局から<古代経典名方目録>として発表され、今後、さらなる成果が期待されています。

次回は9月15日更新予定 テーマは<児童教育に関する話題>です。

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