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第1036回 小中高教育に関する話題

(2022年9月15日)

 2020年、中国の9年間義務教育入学率は100%、定着率は95.2%に達しました。特に2019年5月に追跡管理を厳格化した結果、中途退学者は60万人から6781人に急減、とりわけ、52の国家貧困県では、8.2万人が433人に減りました。振り返れば、新中国成立当初の識字普及率は20%前後、小学校入学者も20%未満でしたから、隔世の感があります。ちなみに、当時は大学など高等教育機関在籍者も11.7万人に過ぎず、4000万人に迫ろうという現在の比ではありませんでした
 こういった中、現在、その教育内容の改善も精力的に進められています。近年、特に問題視されたのが「負担の軽減」。これまでも幾度かにわたり提起され、2013年には<小学生負担軽減十条規定>が出されて教師による学外での補習が禁止されましたが、なかなか改善されませんでした。そこで2018年・2021年にその取り締まりを一層強化する通知や意見が出され、“双減”(宿題と学外学習の軽減)が一躍、政府のスローガンになりました。この方針に沿って、2021年秋の新学期から、学校と社会と家庭が一致協力する体制が求められたのです。
 一方、教育内容の見直しも並行して進められています。その一つが授業形式の改善で、ITを使った教育スタイルは全国小中高校の100%に、マルチメディア教室も95.3%に導入され、人工衛星を使った遠隔授業も1.8億人の生徒児童の自宅学習を助けています。カリキュラム内容も変化しつつあります。第13次5ヵ年計画中(2016-2020)には、“体美労”(体育・美術・労働)教育が重視されるようになり、生徒たちが毎日1時間は一つのスポーツに打ち込めるよう配慮した学校は全体の95%に上ったとのこと。学校ごとの特色あるスポーツの設定も推進され、すでにサッカーが3万校、バスケットが1万校、スキーやスケートは2000校を数えています。音楽・美術の授業もカリキュラム全体の9%以上とするよう求められ、高校段階では93.2%の学校が6単位の芸術類課程を公共基礎必修科に組み入れられるようになりました。これに合わせて専門教員の増員や器材の配備にも拍車がかかっており、小中高校各段階の器材充足率はいずれも93~95%前後に達しています。さらに課外活動の充実も叫ばれ、92.7%の学校が文化芸術・スポーツ活動を、88.3%の学校が読書活動を、87.3%の学校がサークルやクラブ活動を展開しています。

次回は9月22日更新予定 テーマは<加速する技術者の育成>です。

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