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第1038回 加速する技術者の育成-その2-

(2022年9月29日)

 2018年5月、国務院は<終身職業技能訓練制度推進に関する意見>を配布、以下の三点を掲げました。①終身職業技能訓練体系の構築を通して産業の高度化を進め、イノベーション強化につなげる。②制度改革を進めて職業技能訓練市場化システム・技能人材多元評価システム・職業技能訓練内容評価管理システム・多角的技能向上奨励システムを構築する。③職業技能訓練サポート基盤を強化し、教育リソースとプラットフォームを建設する。
 2021年1月、政府は<高級技術者と専業技術者の壁を取り払うことに関する実施意見>を配布、ブルーカラーとホワイトカラーに分けた評価システムを改めることを示唆しました。従来は、熟練労働者になっても、身分・学歴・論文などの壁にぶつかり、高級エンジニアの資格を手に入れられませんでしたが、今後は“工人教授”の資格も得られるようになったのです。さらにその領域も、農業・芸術・スポーツ・工芸美術・文化財など様々な分野に拡大されることになりました。 同年8月、政府は<「技能中国行動」実施プラン>を配布、第14次5か年計画期間に4000万人以上の新たな技術者を養成する、という目標を掲げました。中国ではすでに第14次5か年計画終了年の2020年に技能労働者数は2億人を超え、そのうち、科学技術関係は1億1234万人、高級技術者は5800万人を数えていました。しかし、それでもなお、高級技術者の需要は逼迫しており、求人倍率は2倍を超えていました。とりわけ、複合型技術者の不足は顕著で、デジタル化が急速に進む製造業では、2025年に3000万人の不足が見込まれています。
 技能労働者のすそ野を広げるため、政府は2021年に全国の省・自治区の155の地級市で次々にオンラインで職業技能電子訓練チケットを発給しました。こういった流れを受け、2022年2月には<第14次5か年計画職業技能訓練構想>が打ち出され、2022年5月に政府が発出した<2022年技工院校学生募集に関する通知>では、全国2492カ所の技工院校に対し、募集の着実な実施、募集枠の拡大、140万人以上の確実な充足を求め、その中で特に貧困扶助家庭からの募集を強化するよう求めています。
 現在、中国では、科学技術労働者が39歳以下の四分の三を占め、女性の進出も顕著になっています。世界の科学技術強国への歩みは着々と進められています。

次回は10月6日更新予定 テーマは<最近の経済財政政策の重点>です。

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