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 第百四回 中国アニメ市場


 昔の中国で漫画といえば連環画。1908年に上海のある書店が、当時民間に大量に出回っていた挿絵入りの章回小説(注:宋代の講釈師のテキストから発展した小説のスタイル。『水滸伝』などはその代表例)をもとにして、絵の下や横にスト−リ−を書 き加えるといった絵本形式の本を作りました。当時は読み書きが出来ない多数の庶民 の啓蒙に随分役立ったものでしたが、新中国になってから人気が沸騰、1982年には年 間8億6千万冊、全国の出版図書の4分の一を占めるまでに至りました。
しかし、90年代に入ると、<米老鼠和唐老鴨(ミッキーマウスとドナルドダック)> <一休(一休さん)><奥特曼(ウルトラマン)><機器猫(ドラエモン)><美少 女戦士(セ−ラ−ム−ン)>更には<桜桃小丸子(ちび丸子ちゃん)><蝋筆小新(クレヨン新ちゃん)>などの外来の漫画やアニメが大流行し始め、連環画は廃れていきました。しかし、外来アニメは<蝋筆小新>に代表されるモラルの低さが問題になり、健全な国産アニメの登場を望む声が次第に高まりました。
2001年、<藍猫淘気(やんちゃなブルーキャット)3000問>が登場し、テレビで全国 放映されるや、豊かなキャラクタ−の登場人物たちを通して自然や歴史などの知識を 楽しく学べるこの中国オリジナルアニメは爆発的人気となりました。3000問は1日1問でも8年間は続きます。お陰で文房具、オモチャ、衣類、自転車などのキャラクタ−グッズは驚異的な売り上げを記録、全国で合計2400箇所の専売店がオ−プンするほどになりました。
 続いて2003年6月、中国中央テレビ局は大型アニメ<哪咤伝奇>の放映を開始しまし た。このアニメは、勧善懲悪と民族精神の称揚を背景に、中国の神話に登場する少年 "哪咤"の成長を描く物語で、国産アニメ発展のきっかけとなることが期待されています。
 中国には3億8千万人もの児童がいます。日本ではアニメ産業は既に観光業に次ぐ 巨大産業に成長していますが、大市場を抱える中国アニメ業界の発展は、今まさにその緒についたばかり。しかし、中国アニメが発展するには、国内にはびこるすさまじい著作権の侵害のせいで制作に巨額の費用を要するアニメの採算が取れないという現状の改善がまず先決問題ではないでしょうか。

三瀦先生のコラム