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第1040回 2022年上半期の経済状況-その2-
(2022年10月13日)
そこでは状況の良し悪しを図る風見鶏としてまず外資の動向を取り上げ、一部の外資企業がリスク回避のため投資先の多元化を図っていることを認めつつも、2021年の外資による実質的投資は1兆元の大台を突破し、2022年の1~4月におけるそれもまた前期比20.5%増であったことを指摘、投資の足取りは鈍化しておらず、なおかつ、6割の米国企業が対中国投資を計画しているとして、中国市場の強靭さを誇示しました。一方、当面厳しい状況に置かれていることは隠しようもなく、国民を鼓舞するため、三大試練を切り抜けられる拠り所として、以下の諸点を提示しました。(一)インフラ投資では、第14次5ヵ年計画において102項目の重大建設プロジェクトが推進されつつあり、そこには2600余りの個別小プロジェクトが含まれ、各地ではすでに71000件の特別債が用意されており、水利項目には8000億元が投じられる。(筆者注:ただ、不況時には公共工事に頼るというパターンが両刃の剣であることは言うまでもない)。(二)今日の中国は一人当たりのGDPが1万2000元を超え、中所得者は4億人に達し、市場を形成する企業は1億5000万社に達する。ネット消費も盛んですでに世界第二の消費市場になっており、その強靭な吸引力は衰えない。(三)既にあらゆる産業を網羅したシステムが整い、産業経済規模も世界のトップを占め、グローバルな産業チェーンに深く融け込み、様々な打撃にも耐える力がある。(四)人材資源大国としての勢いがますます高まっている。14億の人口、9億の労働力、1億7000万の高等教育レベルの技能者を擁している。その上で、当面の対策をとして、①中小企業への様々な援助としれによる雇用の確保 ②市場による様々なリソースの適正な配分化と行政改革によるイノベーション活力の養成 ③政府による健全なコントロールシステムの整備などを掲げました。
7月28日の中央政治局会議では、上半期全体の数字として回復基調をアピールしましたが、党大会を3か月後に控え、習近平政権の経済政策を擁護する基調が鮮明になりました。
9月20日付の人民日報は、8月の国民経済の多くの指数が前月を上回ったことを上げましたが、製造業投資やインフラ投資がそれぞれ10%、8.3%増加しているように、投資頼みの側面はぬぐえません。党大会用の数字づくりというメッキが剥げた時、中国経済がなお強靭な成長を保てるかが、今後のポイントになっていくことでしょう。