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第1043回 老人対策の新傾向-その1-

(2022年11月3日)

 人口の高齢化に直面しつつある中国では、ルイス転換点を超え、ちょうど習近平が登場した2012年の十八全大会、その三中全会から五中全会にかけ、さらには2016年からの第13次5ヵ年計画で、高齢者に対する社会的サポート体制の整備、シルバー産業の発展推進などの方針を明確に打ち出し始め、2017年の第19全大会では、①人口の高齢化に対する積極的対応 ②養老・孝老・敬老政策システムと社会環境の整備 ③医療と老人介護の結合 ④高齢者事業と産業の発展、が謳われ、2019年11月の<積極的に人口高齢化に対応する国家中長期プラン>に至り、戦略目標が明確化され、具体的な活動任務が示され、高齢化対策は新たなステップへ入りました。これを受け、2020年の五中全会では、上記の国家戦略の実施に関する長期的な戦略配置を整え、翌年の六中全会では、それまでの経過を総括したうえで、①人口発展戦略研究の強化 ②人口高齢化への積極的対応 ③社会的サポート体制整備の加速 ④人口政策の見直し ⑤人口の長期的な均衡発展、を掲げました。
 2021年11月18日、国務院は<新時代の高齢者向け事業を強化することに関する中共中央国務院の意見>を発出、具体的に踏み込んだ内容を示しました。まず、サポート体制の整備では以下の諸点を掲げました。①地域社会に依拠し、在宅を基本とする多様な養老サービスを充実させ、地方政府は専門機関を設立して地域社会や家庭にサービスを行き届かせる責任を持ち、街道や地域社会(社区)は食事や清掃を担う企業の導入と監督に責任を持つ。農村では、農村振興戦略と連動させ、関連する機関や設備の建設に力を入れ、農村の互助組織や農村幸福院を活用する。②各地方は老人養護施設を、直接建設、委託運営、サービスの購入、民間投資の奨励など様々な方式で建設する。光栄院(軍人など特別優遇者のホーム)の建設を強化する。公営老人ホームは経済的に困窮した要介護者(認知症高齢者を含む)、孤老、身障者、趙高齢者、計画出産特殊家庭老人(一人っ子が重度障害か死亡して子供がいない家庭の老人)、社会的貢献が大きい者などを優先する。③養老サービス内容のリストを作成し、サービスの対象・内容・基準・支出の責任を明確にし、2022年までに高齢者能力総合評価制度を構築、全国的に基準を統一する。④基本養老保険の100%カバー、企業基本養老保険の全国的な統一を実現し、企業(職業)年金を発展させ、三本柱を確立する。
 続きは次回に。

次回は11月10日更新予定 テーマは<老人対策の新傾向-その2->です。

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