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第1044回 老人対策の新傾向-その2-

(2022年11月10日)

 2021年5月に発表された第7回人口センサスによると、中国の60歳以上の人口は2.64億人に達し、平均寿命予測も77.9歳(2020年データ)に。これに合わせ、2020年末までに、全国では国家老年医学センターが一カ所、国家老年疾病臨床医学センターが6カ所、二級以上の総合病院付設老年医学科が2642カ所整備され、養老・医療結合機関は5857個所に達していました。また、2022年第1四半期の統計では、養老施設の総数が36万か所、ベッド数は812.6万床(2012年のほぼ倍)になりました。とはいえ、それで十分とは到底言えず、在宅養老の充実も焦眉の急になっています。
 2022年2月、<“十四五”国家老齢事業の発展及び養老支援体制プラン>が発表され、2025年までの目標を提示、社会保障と包括的養老支援ネットワークの構築、老人にやさしい社会環境の整備を掲げ、9つの主要目標とその具体的活動任務を示しました。同時に、国家衛生健康委員会等が<“十四五”健康老齢化プラン>を発出、健康教育・予防保健・疾病診断治療・リハビリ介護・長期ケア・ホスピスなどを含む老年健康支援の提供、養老と医療の結合を踏まえた高度な整合的医療衛生支援体制の構築を謳い、併せて、政府主導の下、民間資本の積極的参入を促し、多層的かつ多様な老年健康支援システムを完成させる、としました。さらにこの中には、社会の養老意識を向上させるため、食事や運動、薬の服用方法、リハビリ、応急措置など、地域コミュニティ(社区)や家庭内での対応を喚起する重要性も盛り込まれています。これに呼応した各地の動きも活発で、例えば天津市では、居住環境の改善(マンションの廊下や階段には手すりを、階段の踊り場には椅子を、トイレの便器の横と上にはつかまり立ち用のバーを設置するといった配慮)を行い、老人食堂や食事の宅配サービス、老人防護スマートシステムの充実、独居老人用緊急通知ボタンの取り付けといった対策が取られています。
 こうした中、注目されるのが老人にも引き続き社会的役割を担ってもらおう、という動きで、「時間銀行」による互助システムへの試みもその一つでしょう。ボランティア活動や地域コミュニティ(社区)の様々な活動への参加はもちろん、老人職能データを構築し、労働意欲の高い老人にその技術や能力を生かす就労の斡旋も始まっています。

次回は11月17日更新予定 テーマは<シルバー産業の発展>です。

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