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第1045回 シルバー産業の発展

(2022年11月17日)

 高齢者対策の重視は必然的にシルバー産業の発展を促します。シルバー産業から見た老人は消費者そのもの。中国貿易促進会研究院の趙萍副院長は、その確実な消費アイテムとして以下の三つを挙げています(人民日報2021.1.6「重视老年消费群体三大刚需」)。同記事によると、第一が医療保険関係で、他の年代に比べ、その需要は極めて高く、保健食品や薬品の消費需要、定期健診、慢性疾病の監視と治療、健康管理のニーズは日増しに高まっています。第二は交通通信の手段とサービスの増大で、50歳以上のインターネット使用者は、2020年6月には22.8%に増え、高齢者もスマホやスマート家電をECサイトから購入するようになってきました。第三は、教育・文化・娯楽に対するニーズで、とりわけ最近の定年退職者は従来と異なり学歴も消費力も高く、商品の品質にもうるさくなり、社交的娯楽・アスレチック・観光への需要が高いとのこと。しかし、趙副院長は、こうしたシルバー層の消費は、その潜在能力の高さに対し、それを掘り起こす環境整備が追い付いていない、と指摘します。まず、まだ十分働けるので、職さえあれば収入が増え、それに応じて消費も増えるはずなのに、そのポストが供給不足で、次に、様々な消費需要に対応する商品や商品提供ルートが十分整備されていないのです。
 2021年11月15日、広州で第8回中国国際老齢産業博覧会が開催され、内外から300社以上が参加し、1000種ほどの製品が出品されました。会場は、スマート養老、老化対応品、リハビリと介護、養老介護と老人サービス、中医医療と保健衛生、長寿の郷に分かれ、また、初めてスマートバリアフリー都市の展示コーナーも設置され、その最新成果が披露されました。最も参加が多かったのは日本で、21社に上り、中国国内からも著名ブランドが一斉に参加、アメリカ、ドイツ、イスラエル、カナダ、デンマーク、韓国などがこれに続きました。
 養老産業の発展で注目されているのが養老信託。政府は<“十四五”国家老齢事業の発展及び養老支援体制プラン>で、金融機関に対し、備蓄・理財・信託・保険などの養老金融商品の開発を奨励し、これをサポートする関連政策の整備を進める、と明らかにしています。とりわけ、信託業界は一層の役割が期待され、併せてリスク管理能力や各種資産の信託保管、信頼される信託消費サービスの提供が求められています。

次回は11月24日更新予定 テーマは<幼児教育の発展>です。

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