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第1053回 成渝地区“双城経済圏”の形成

(2023年1月19日)

 長江上流の四川省省都成都と重慶市で構成される成渝地区“双城経済圏”が最近急速な発展を見せています。2020年1月、習近平総書記は中央財経委員会第六回会議で「成渝地区双城経済圏の建設を促進し、西部地区が高度に発展する成長の核を形成しなければならない」と述べ、同年7月には四川省・重慶市双方が同経済圏建設に協力する合意書に調印、10月には<成渝地区双城経済圏建設綱要>が発表されました。こうした動きを受け、同年11月には、双城経済圏科学技術革新連盟が重慶市壁山で成立、双方の協力によって科学技術の成果移転と産業化を促進する方針を掲げました。
 成渝両地区の提携については、これに先立ってすでに<成渝地区双城経済圏交通一体化発展三年行動方案(2020-2022)>がスタートしており、2020年12月24日に、千トン級の船が両都市間を航行できるようにする双城経済圏最初の重大プロジェクトが着手され、翌日には、建設以来5年を経た成渝高鉄で初めて時速350キロ(従来は300キロ)の復興号が運転を開始、両都市間を62分で結ぶようになりました。また、翌2021年1月1日には、それまで別々に運航していた中欧貨物列車で初めての“中欧班列(成渝)号”が発車、同経済圏の成立を印象付けました。こうした動きに合わせ、同年8月、四川省と重慶市に跨る、262㎢に及ぶ川渝高竹新区も建設されました。さらに、両地区の水素エネルギー産業が水素産業チェーン関連会社の連盟を立ち上げて、新エネルギー自動車向けの技術開発を図ったり、生物医薬品開発で協力したり、という具体的な動きも加速しました。
 翌2021年7月、双方は内容をすり合わせた<ビジネス環境改善条例>を同時に施行し、それまで企業を悩ましていたビジネス環境の違いを克服する同一化を実現、双方の企業や研究機関の提携に青信号がともされました。こうした恩恵の最大の受益者は自動車産業です。重慶市はもともと長安自動車などが拠点を構え、成都も近年、一汽フォルクスワーゲンや、ボルボなどが進出、両地区の生産台数は年産300万台を超え、関連産業の集積が進んでいましたが、これにより既に部品会社130社以上が相互乗り入れを果たしています。8月、川渝両地区は<成渝地区双城経済圏ビッグデータ協同発展協力覚書>に調印、78項目で合意し、144部門、5460種類の行政データを共有、医療決算の連動なども可能になりました。

次回は1月26日更新予定 テーマは<品質問題>です。

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