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第1054回 昨今の品質問題の動きーその1-

(2023年1月26日)

 2000年代に入りWTOに加盟したのち、中国は偽物粗悪品に対する取り締まりを年毎に強化しましたが、当初は法律の整備も不十分で、上海や北京の偽物市場への取り締まりも見せかけのパフォーマンスに近いものでした。
 その後、2009年以降は、国家品質検査総局による製品品質抜き取り検査が毎年公表されるようになり、2010年代中ごろには、人々の生活向上を背景に、電子レンジ、ガスコンロ、ダウンジャケット、紙オムツ、子供用歯ブラシ、空気清浄器、マッサージ器などといった品目も調査項目に加えられるようになりました。また、同時期には、2010年に<権利侵害責任法>が、2014年には<消費者権益保護法>が施行され、法的整備も着実に進行し、まさにそう言った歩みと交通・物流の全国的整備の進捗を背景に、ECが急速に普及しました。しかし、そこで取引される商品は品質に大きな問題がありました。これを端的に表した言葉が“三高三低”すなわち「偽物粗悪品が多く、合格率が低い」、「“三無”(製造日、品質合格証(または生産許可証)、メーカー名の記載がない)製品が多く、表示がきちんとある製品が少ない」、「小型家電製品の非安全度が高く、耐用性が低い」でした。
 こうした状況を受けて、国務院はまず2016年4月に<品質発展貫徹実施綱要2016年行動計画>を出し、同年8月、国務院は<消費品の基準と品質向上プラン(2016-2020)>を承認、①国内外の基準の統一、②企業が自社の製品の基準とサービス内容を発表し監督する制度を確立・整備する、③商品の清算と取り扱いに関するネガティブリストを確立し、強制的基準、工業製品生産許可証、3C強制認証以外は、基準と品質に関するその他の市場参入制限は取り払う、④統一された監督と抜き取り検査を行い、企業、製品、検査機関は無作為に選ぶこと、などを打ち出しました。
 翌2017年には<重要製品情報化トレサビリティシステム確立の推進に関する指導意見>が出されて、2020年には重要な製品について全国をカバーする、という目標が示されました。一部の農産物は、消費者がスマホをかざせば、生産者・生産地・農薬などの使用内容が一目瞭然になりましたが、当時の人民日報に「農産物のQRコード情報をあなたは信じますか」という記事が掲載され多様に、記載内容への信頼が問題になっていました。

次回は2月2日更新予定 テーマは<昨今の品質問題の動きーその2->です。

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