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第1057回 環境政策、最近の動き-その2-
(2023年2月16日)
2016年8月に<統一的規範的国家生態文明試験区設立に関する意見>が出され、福建省・江西省・貴州省の三省に国家生態文明試験区が建設されて以来5年、2020年、国家発展改革委員会はその成果をまとめて発表し、14方面、90項目の改革措置及び経験を全国の改革先行地域に模範として提示しました。例えば、江西省は全省を優先保護地区、重点管理抑制地区、一般管理抑制地区に分けて対策に取り組み、貴州省は2017年に全省で河長制を実施、4697本の河川に22755名の河長を選任、5段階の行政レベル、即ち(省・市・県・郷・村)による巡回制度を確立しました。また、省を超えた協力も進み、赤水河流域では、貴州・雲南・四川の三省が2億元を共同出資して流域の生態保護に横の連携を図りました。2020年秋に開催された19期五中全会で採択された第14次5カ年計画と2035年の長期目標に関する提案は、環境の持続的改善に関する主要任務を掲げ、特に大気汚染については、PM2.5などの抑制は一定の効果を上げているものの、オゾン層を破壊するフロンガスの放出は深刻化しているとして、産業構造・エネルギー構造・運輸構造・土地利用構造・農業構造の調整と、地域的には京津冀とその周辺地域、長江デルタ、汾渭河平原、蘇皖魯豫境界地区の大気汚染改善に重点を置き、科学的な取り組みと法整備を進めるべきである、と示唆しました。また、“山水林田湖草”はすべて相互に依存する生命共同体であるとし、総合的システム的にとらえる視点の重要性を強調しています。
2015年にパリ協定を承認した中国は、2020年9月の国連総会で習近平国家主席が、中国は二酸化炭素排出量のピークを2030年とし、2060年には中和を達成するよう努力する、と表明し、政府は2021年を「重要な年」と位置付けましたが、その中で中国が注目したのが、二酸化炭素を蓄積する自国の森林資源の果たす役割です。森林資源拡大による蓄積量増加への取り組みは既に2009年から計画的に進められており、2020年には2005年比で13億㎥増加しましたが、2015年には、2030年までに45億㎥増やす計画が打ち出されていました。2030年目標の達成には2005年比で60億㎥増が必要であり、そのために、政府は森林化可能地3000万ヘクタール、耕地の森林・草原復元可能地4000万ヘクタールの活用を提唱しています。