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第1059回 環境政策、最近の動き-その4-

(2023年3月2日)

 このところ、中国では二酸化炭素排出削減への取り組みがあらゆる方面で精力的に進められており、そのニュースが新聞に載らない日はありません。
 2022年の時点で、中国の新エネルギー(水力・風力・太陽光・バイオ)のエネルギー消費全体量に占める割合は25.5%に達し、その発電量は1兆KW/hの大台を突破して世界一となり、2021年には二酸化炭素排出強度も15%に下降、15年間でほぼ半減しました。
 2022年1月、国務院は<“十四五”省エネ排出削減総合活動プラン>を配布、既存の石炭火力発電プラントについては、超低排出改造を進める一方、2025年までに、全国のGDP当たりのエネルギー消費量を2020年比で13.5%削減し、化学的酸素要求量、アンモニア性窒素、窒素酸化物、揮発性有機化合物の排出総量を2020年比でそれぞれ8%、8%、10%以上、10%以上削減するとしています。
 一方、同月、政府の17の部門などが合同で<“十四五”時期“廃棄物ゼロ都市”建設活動プラン>を配布、2019年以降、11の都市と5つの特殊地域で行った試験的取り組みをベースに、廃棄物の削減と資源の循環を二酸化炭素削減システムに組み込むため、100前後の地級以上の市で“廃棄物ゼロ都市”建設を進め、2025年には固体廃棄物管理情報の一元化をほぼ実現させるとしました。また、<農村エネルギー資源の転換発展を加速させ、農村振興を援助する実施意見>も出され、2025年までに新エネルギー産業を農村経済の重要な補完力、農民増収の重要なルートとする方針を打ち出しました。
 建築面でも本格的な取り組みが始まっています。2020年の新規建設面積に占める緑色建築は77%に達し、2025年には100%を実現するとしています。これに呼応した形で、同年5月には関連諸団体が合同で温室効果ガス排出削減に関するガイドラインを打ち出し、衣・食・住・交通・使用・事務・デジタル金融の七大部門における40項目の排出削減行為を推奨しました。例えば古着の活用、使い捨て食器類の削減、食べ残しゼロ、水や電気の節約、クリーンエネルギーの使用、生活ゴミの分類などで、社会を挙げての取り組みが本格的に始まったことを示唆しています。年間配達数が2021年に初めて1000億件を超えた宅配の包装資材に対する対策も既に2020年から政府挙げての取り組みが始まっています。

次回は3月9日更新予定 テーマは<中国と中南米>です。

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