企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第1060回 中国と中南米諸国-その1-

(2023年3月9日)

 習近平は2012年に総書記に就任して以来、アメリカの裏庭とも言われるカリブ海諸国をはじめとする中南米各国との提携を積極的に推進してきました。2013年には、トリニダードトバコ、コスタリカ、メキシコを訪問、2014年には、1月の第二回ラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体サミットで<中国-ラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体フォーラム設立を支持する共同声明>が採択された後、7月にブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、キューバを訪問、中国-ラテンアメリカ・カリブ海諸国首脳会議に出席しました。これらを受けて、2015年には同共同体と初の閣僚級会議を北京で開催、また、これと並行して、2016年までに<中国-ラテンアメリカ企業家サミット>も10回開催するなど、活発な経済交流を進めました。
 2016年11月、中国政府は膨大な<中国の対ラテンアメリ・カリブ政策文書>を発表し、これまでの活動を総括するとともに、今後へ向けた新たな方針を示しました。その第三部分では、<中国と同地域諸国との国家協力計画(2015-2019)>を踏まえ、貿易・投資・金融協力を推進力に、エネルギー資源・インフラ建設・農業・製造業・技術革新・ITを重点協力分野とし、物流・電力・情報の流通経路を協力して整備し、互いの社会・政府・企業によるインタラクティブな協働を実現し、さらに、ファンド・貸付・保険という融資ルートをも開拓することを掲げました。また、第四部分では、経済貿易12分野、社会4分野など、他項目にわたる協力内容を詳細に説明しています。同月は人民日報にも関連大型記事が目白押しで、中国政府の力の入れようがひしひしと伝わっていました。
 中国が力を入れている項目の一つが、チリの水力発電所株の取得、オーストラリアの再生エネルギー企業のブラジルにおける資産の買収など、電力インフラへの投資です。豊富な太陽光・水力・風力発電資源を抱えるこの地域は、2016年当時、既にブラジル、メキシコ、チリが世界再生可能エネルギー十大投資国に入っていました。経済発展に伴う電力の不足は深刻で、中国はそこに目を付けたのです。また、ブラジル、ペルー、ボリビアは相互電力供給ネットワークの形成も視野に入れており、この面でのインフラ建設も今後、中南米全体に広がる可能性があります。次回は、2020年以降の動きを見てみましょう。

次回は3月16日更新予定 テーマは<中国と中南米諸国-その2->です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム