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第1062回 交通安全への取り組み

(2023年3月23日)

 2022年12月に公安部が公表したデータによると、中国全体でのエンジン車両保有台数は同年11月現在で4.15億台(ドラーバー5億人以上)、その内、自動車は3.18億台(ドラーバー4.63億人以上)に上るとのこと。直近5年間は年平均2500万人増加して成年人口の50%に達し、25歳以下の免許取得者も大学生を中心に増えて5448万人に達しています。
 そこで懸念されたのが、道路法規が「あってなきがごとし」だった中国での交通事故の急増でしたが、案に相違して、近年の国を挙げた交通安全運動が功を奏し、比較的重大な交通事故の発生は6割減と、むしろ減少しています。その取り組み振りを紹介しましょう。
 第一に飲酒運転の取り締まりです。2011年5月に刑法修正案が施行され、「危険運転罪」が設けられて、酒酔い運転に「刑事責任の追及」が加えられ、1ヵ月以上6ヵ月以下の拘留かつ過料が科せられるようになって以降、10年間で酒酔い運転は70%以上減少、死傷事故も前の10年間より2万件余り減少しました。
 車による信号や横断歩道者無視、道路の勝手な横断は、以前の中国でしたら日常茶飯事でしたが、この面でも様々な取り組みが進められました。2018年、公安部は<エンジン車両の横断歩道無視取り締まりを一層強化することに関する指導意見>を発し、全国的に取り締まりキャンペーンが展開されました。北京市では217の十字路で監視カメラによる取り締まりを強化し、横断者を無視した車には200元の罰金を科しました。また、横断歩道に“礼让行人”(横断者に道を譲りましょう)と大書したり、横断歩道が盛り上がって見えるようにペンキを塗ったり、という工夫も行われました。この結果、2020年には、33大都市の主要十字路歩行者優先率は90%を超えました。一方で子供たちに対する道路横断マナー教育も全国的に広く実施されるようになりました。学校に模擬横断歩道と信号を設置して、児童に歩行や自転車走行の指導をしたり、交通安全ゲームを考案したり等々様々な工夫がなされています。一方で、2020年には、違反した人が横断歩道で横断者保護ボランティア活動をすると、交通違反点数が減る措置も導入されています。
 2018年に無人運転車一般道路テスト走行による交通事故への対応策を決めた規定が発表されましたが、無人運転車の普及で、こういった問題は一挙に解消されるのでしょうか。

次回は3月30日更新予定 テーマは<貿易にまつわる話題>です。

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