企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第1063回 貿易にまつわる話題-その1-

(2023年3月30日)

 中国でコロナが本格的に蔓延し始めたのは2020年春。翌春には貿易をいかにしてU字型に回復させるかという記事が人民日報に登場し始めました。翌2021年の中国貿易は、物品貿易で見ると、貿易総額は39.1兆元(21.4%増)、輸出は21.73兆元の21.2%増、輸入は17.37兆元の21.5%増、中国中西部の輸出入は6.93兆元(22.8%増)増と好調でした。
 しかし、2023年1月の中国税関総署の発表によると、2022年の物品貿易は42.07兆元(7.7%増)で、輸出は23.97兆元(10.5%増)とかろうじて二けたを維持した一方、輸入は18.1兆元で4.3%増に止まりました。サービス貿易は総額5.98兆元で12.9%増、輸出は2.85兆元で12.1%増、輸入は3.18兆元で13.5%増でした。その内訳では、知財権使用費、電子計算機、情報サービスなどが二けたの伸びを示しています。これを貿易総額からみると、輸出入額とも過去最高とはいえ、輸出は7.0%増、輸入に至っては1.1%増に過ぎず、「2022年、我が国の対外輸出入貿易は予想をはるかに超えた多重的衝撃を受けつつも、規模・質・効果・利益ともに向上した」(2023.1.14、人民日報)とは強がるものの、厳しい状況に晒されました。
 何とか成長を保てた要因は一帯一路沿線国への貿易が伸びたことで、中南米諸国への輸出入の伸びは輸出入全体の増加ポイント数のうち、6.1ポイントを占め、その中では、対アフリカ、中南米の増加率が14%以上に達しました。また、製品から見ると、工業製品の輸出が9.9%増加し、輸出入全体の増加ポイント数のうち、9.4ポイントを占め、なかでも、太陽電池、リチウム電池電動有人車などの増加速度が注目されました。また、自動車の輸出台数は前年比54.4%増の311.1万台となり、中でも新エネ車の増加ぶりが目立っています。
 貿易総額での上位国は相変わらずアメリカが1位で全体の12%を占め、伸び率は0.6%、続いて韓国が5.7%を占め、0.1%増、これに対し、日本は占有率5.1%で3.7%ものダウンを記録しました。また、注目されるのはASEANが15.5%を占め、11.2%増だったことです。日本は特に中国からの輸入が4.4%増えた一方、中国への輸出は10.2%と大幅に低下し、アメリカの1.1%、韓国の6.5%をはるかに下回りました。
 次回は貿易関連政策の近年の動きを俯瞰します。

次回は4月6日更新予定 テーマは<貿易にまつわる話題-その2->です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム