企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第1064回 貿易にまつわる話題-その2-

(2023年4月6日)

 輸出は2022年全体で7.0%増でしたが、期別で見ると、7~9月は前年同期比二桁増を維持していたのが、10~12月は、欧米の相次ぐ利上げの影響を受け、7%減と急落しました。対米19%減、対欧12%減という数字がそれを物語っています。近年、3割近くを外需で賄っていた経済成長への影響は大きく、7~9月の3.9%増が10~12月は2.9%に下落し、通年実質成長率は3%と、当初政府予想の5.5%前後を大きく下回りました。
 ここ数年、政府はどんな対外貿易政策を取っていたのでしょうか。一昨年(2021年)12月には<中国輸出管理統制白書>を公布、ハイレベルの開放体制維持は変わらないとしつつも、国の危機管理体制として輸出管理を位置づけ、‛ある特定の国‚の「国の安全を拡大解釈し、規制の口実を捏造する」やり口と、閉鎖的なグループを作ることを厳しく非難しました。
 その一方、自助努力として、いくつかの政策も進めました。2022年年初には<中長期的視野による調節で対外貿易を一層発展させる意見>で、①中小零細企業に対する財税金融政策によるサポート、②EC商務総合試験区の増設(2022年には132個所)やオフショア貿易中心都市の育成などによる対外貿易新業態の発展、③国際物流企業との長期協定による中小零細対外貿易企業の対外貿易供給チェーンの困難緩和促進、④東部・西部・東北部が一体となった国家加工貿易産業パーク建設による加工貿易システムの構築など、全15条の措置を打ち出しました。同月、国務院弁公室は<内外貿易一体化推進に関する意見>で4方面、15の措置を発表し、知財権問題発生時のサポートによる、企業のイノベーションと国内販売への積極性の後押しなど、市場主体の内外貿易一体化経営のサポート、内外貿易融合発展モデルの創出などを謳いました。さらに、2023年1月から、一部の輸出入関税が調整され、1020の商品に対して、最恵国待遇を下回る輸入暫定税率も実施されました。
 今年1月以降、製造業景況感は3か月連続して50を超え、小売り売上も昨年9月以来のプラスに転じましたが、内需不振で1・2月の輸入は10.2%減でした。春の全人代では今年の成長目標を5%前後としており、目標実現のため不動産業界への巨額融資も再開されていますが、これは将来への重荷。昨年下半期73%減となった外資の中国投資を回復させる信頼の回復も重要。実際、再進出へ舵を切った大手日本企業も増えつつあるのですから。

次回は4月13日更新予定 テーマは<不動産業へのテコ入れとその問題点>です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム