企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第1067回 2023年春の全人代-人事-

(2023年4月27日)

 全人代が終わって1カ月が過ぎました。昨年秋の第20回党大会で習近平が党総書記に三選されましたが、今春の全人代は新体制を支える国家体制の人事が断行されました。その顔ぶれと、それにまつわるいくつかのポイントに言及してみましょう。新しい主な顔ぶれは、1)国家主席:習近平(3選)/国家副主席:韓正 2)中央軍事委員会主席:習近平(3選)。中央軍事委員会副主席:張又侠、何衛東 3)、政治協商会議主席: 王滬寧 4)国務院総理:李強。副首相:丁薛祥(筆頭副首相)、何立峰、張国清、劉国中。国務委員(首相や副首相等とともに国務院常務会議を構成):李尚福国防部長、王小洪公安部長、呉政隆国務院秘書長、諶貽琴(女性、前貴州省書記)、秦剛外交部長 5)最高人民検察院検察長:応勇。最高人民法院院長:張軍。国家監察委員会主任:劉金国 6)中国人民銀行総裁:易綱(再任)。国家発展改革委員会主任:鄭柵潔、といったところ。
 王岐山の後任となった韓正国家副主席は、40年余りを上海で過ごし、同地で、江沢民派と習近平の間をうまく取り持ったことで知られ、江沢民亡き後、その派閥勢力との間を調整する役割があります。この4月で69歳となり、習を脅かす後継者になる可能性はありません。趙楽際全人代常務委員会委員長は、政治局常務委員でもあります。習と関連が深い陝西省出身であり、党務でも習を支え、近年は規律検査委員会を担って腐敗摘発で剛腕ぶりを発揮しました。李強国務院総理は浙江省出身で、習が浙江省書記だった時代の秘書長。丁薛祥筆頭副首相は習の上海市書記時代を支え、その後、習の秘書役である党中央弁公庁主任に就任していました。何立峰副首相は習の福建省時代の部下で、近年は国家発展改革委員会主任として活躍、今後、易綱中国人民銀行総裁とともに金融経済の舵取役を担うことになります。
 こうしてみると、習近平氏が歴任した各地方(陝西省・福建省・浙江省・上海市など)での部下を中心とした側近閥とそれに絡む地域閥、さらには軍事科学記述関係の専門家などが目につく一方、共産主義青年団系の胡春華が政治局常務員から外されたばかりか、政治局員にもなれず、23人もいる政治協商会議副委員長の一人という閑職に回されたことは禍根を残しかねません。閥で固まれば、当然将来の反発も予想されるわけで、江沢民派・共青団系、また軍内部をどうコントロールするのかが大きなポイントになります。

次回は5月4日更新予定 テーマは<2023年春の全人代-政策->です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム