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第1069回 2023年春の全人代-政策(2)-

(2023年5月11日)

 (4)「外資の誘致と活用」。市場参入に対する規制を緩和し、現代サービス業の門戸をさらに開放し、外資企業の内国待遇を着実に実施し、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的な協定)などハイレベルな経済貿易協定への加盟交渉を積極的に進め、制度型開放をしっかり拡大、経済に対する輸出入の果たす役割を引き続き発揮させ、外資企業の重要なプロジェクトの誘致を進める。(5)「重大な経済・金融リスクの効果的な防止と解消」。地域的、システム的金融リスクを回避し、大手不動産企業の経営危機を回避し、負債を減らし、無秩序な拡大を阻止して健全化を図る。地方政府の債務リスクを回避し、債務期限を改善し、利息負担を減らし、新規発行を抑え、債務残高を削減する。(6)「食糧生産の安定と農村振興の推進」。新たに5000万トンの増産を図り、農業資材の供給・価格安定システムを構築する。農業水利や高規準田のインフラ、種子産業の振興、農業の科学化を強化し、農村に特色ある産業を育成する。また貧困脱出と貧困逆戻り防止に注力する。(7)「環境重視へのモデルチェンジ」。環境汚染対策、都市と農村の環境インフラ建設、生態の保護と修築を進め、クリーンで高効率な石炭利用技術の開発と新たなエネルギー体系の構築を加速する。循環経済、資源の節約集約利用、重点領域における二酸化炭素排出削減を推進する。(8)「基本的社会保障と社会事業の発展」。住宅保証システムを構築し、マイホームの購入や買い替え需要をサポートし、新住民や若者の住宅難を解消する。優れた義務教育の普及と都市・農村での均等化を図り、職業教育の発展と高等教育の刷新を推進する。優れた医療リソースの下放と均等な配置を進め、老人介護サービス保障を強化し、出産育支援の政策システムを整備する。文化事業と文化産業を発展させる。安全な生産と防災に注力する。
 このほか、外交分野、貧困問題、台湾問題、軍事関係にも言及があったが、総じて理念的な表現にとどまり、新味に乏しいものでした。首相が李強氏に交代したのち、3月14日には、国務院第一回常務会議が開催され新たな運営が始まりました。
 今回の政治報告を全体的に見ると、内外の困難に直面して、思い切った構造改革に踏み込むより、安定を第一に掲げ、課題を克服し、景気を回復させ、社会保障を充実させることで民衆の不満を和らげることに重点が置かれています。取り巻く状況は次回に。

次回は5月18日更新予定 テーマは<2023年春の全人代-取り巻く状況と課題->です。

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