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第1071回 中国の伝統技能から

(2023年5月25日)

 中国は“地大物博”である上、多くの民族を包含し、かつその5千年以上に上る歴史の中で、豊富で多様な民俗文化を育んでいます。1960年代の文化大革命期、多くの民族文化遺産が破壊に遭いましたが、いま、習近平の指導で中華文化復興の呼びかけが盛んに行われている中、伝統文化の継承、再生、発展といった様々な取り組みが国を挙げて推進されています。
 「我々は新たな時代の条件と結びつけつつ、中華の優秀な伝統文化を継承・発揚し、古代の人々からの伝統を守りつつ、新たな道を拓き、中華文化の革新的発展を実現しなければならない」とは習近平の言葉です。
 以前このコラム欄で、中国の年画について書いたことがありますが、それはほんの一角にすぎません。彫塑・絵画・刺繍・織物・陶芸・食物や、様々な制作物や民間芸能に至るまで、無数と言ってよいほど各地に様々な芸能・技能が伝わっています。
 最近の人民日報には『工匠絶活』欄などをはじめ、様々な紙面を使って伝統技術が紹介されています。例えば、非物質文化遺産「絹人形」技芸継承者の斉聡頴さん。「絹人形」は様々な戯曲や小説の登場人物などを、絹を主に使い、様々な採色・装飾を使って造り上げるものです。1960年代に葛敬安らによって設立された北京市美術人形工廠は「絹人形」技術の再生に取り組み、斉さんは1963年に入廠して以来その制作を続けています。
 湖北省成寧の若者、丁力さんは木の葉に彫刻を施す非物質文化遺産の継承者。一枚の葉に、葉脈を生かしながら、西遊記などの絵を彫り込み、着色を施します。
 広東省陽江市にある老舗の老人左文康さんは有名な竜舟の制作者。陽江の竜舟競争は千年以上の歴史を持ち、左家は四代にわたりその制作に従事しています。陽江の竜舟は一時途絶えていましたが、人々の強い要望に応え1984年に復活しました。
 影絵は中国を代表する民間芸能の一つ。もちろん、インドネシア、カンボジア、シリアなど世界各地に有名な影絵がありますが、中国でもその歴史は古く、全国17の省級地域に分布しています。中でも四川省と陝西省のそれは有名で、四川の影絵はさらに成都影絵と川北影絵に分類されますし、明清時代に隆盛を誇った陝西影絵は多くの流派に分かれています。日々紙面に紹介される様々な民間芸術ですが、つくづく中国民衆の底力を感じます。

次回は6月1日更新予定 テーマは<品質向上に関わる取り組み>です。

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