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第1074回 治安体制の強化-その2-

(2023年6月15日)

 とはいえ、ここ数年の治安に関わる法整備は急ピッチで、枚挙に暇がありません。安全という名がつくものだけでも、2015年の国家安全法、2016年のテロリズム法、2017年のサイバー安全法、2021年のデータ安全法、2022年のサイバー安全審査規則などがあり、このほかにも、国家情報法(2017年)などがあります。2020年7月1日付人民日報も国家安全法公布5周年について記事を掲載し、「ここ5年間、国家安全法律制度システムは急ピッチで整備され、国家情報法、反テロリズム法、国外NGO国内活動管理法、国防交通法、サイバー安全法、核安全法、外商投資法など一連の法律を公布した」とし、併せて香港特別行政区に関する国家安全擁護のための法整備にもふれています。
 2021年春の全人代では、国家の安全にかかわる諸立法として、生物安全法、輸出管制法、暗号法、改正アーカイブ法を制定し、併せて、海上交通安全法、データ安全法、個人情報保護法、反組織犯罪法、修正安全生産法などの草案を審議、また、並行して国防・軍備関係では、海警法、退役軍人保障法、修正国防法、人民武装警察法を制定、軍人の地位・権益保障法、修正兵役法、軍事施設保護法などの草案を審議しました。こうした動きに合わせ、2021年から毎年1月10日を「中国人民警察節」とすることが国務院で決定され、この日に合わせて全国各地で警察活動の宣伝行事が開催されるようになりました。2023年1月現在の統計では、全国4万カ所余りに57万人余の人民警察が配置され、地域コミュニティである全国の社区には19.5万か所の警務室が設けられ、22万3千人が配置されています。公安部は派出所の任務を細分化・明確化して治安対策の強化を図っており、今年3月、<新時代公安派出所業務三年行動計画(2023-2025年)>を通達、2025年には、十全の治安体制を確立するとしています。具体的には「一村一警」を全国で実現し、警察の110番通報と、行政サービスの12345番ホットラインなどといったプラットフォームを整備し、社会の基盤の安定を図る、としています。
 こうした社会一般の治安維持は庶民生活には欠かせませんが、前回紹介したような、中国人・外国人に対する取り締まりの強化と身柄拘束の多発は、過剰な緊張や反発も呼びかねず、今後の政府の対応いかんによっては、逆に安定を脅かす要素にもなりかねません

次回は6月22日更新予定 テーマは<健康スポーツ>です。

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