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第1076回 都市整備の話題-その1-

(2023年6月29日)

 中国の都市化議論が始まり、理論構築が本格的に進められたのは、習近平政権が誕生した2012年から2013年にかけてのこと。こうした議論のさなか、2012年12月の中央経済工作会議では「集約化、スマート化、グリーン化、低炭素化」を中国独自の都市化の道とし、同月の中央都市化工作会議においては、習近平総書記が重要講話を発表し、中国の都市化を「新型の都市化」という正しい方向に向かって発展させるよう強調しました。「新型の都市化」とはすなわち①人にやさしい都市化 ②合理的な配置 ③エコ文明 ④文化の伝承です。中でも①が重視され、2015年12月の中央都市工作会議では、「都市の核心は人」、「市民が都市建設・都市発展の重要な主体」であることが示されました。②については、都市の発展は単に高層ビルが林立すればよいというものではなく、都市空間をどうとらえるかが重要であるという視点が重要視されるようになりました。その意味で、2020年1月7日の人民日報が掲載した<科学规划让城市更美好>「科学的プランで都市をより素晴らしく」(東南大学段進教授)という一文は一読に値します。
 2019年末、中国の都市化率は約60%に上っており、2050年には80%にも、という予測もありますが、適度な都市化率を、という議論もあります。単に数字を追うのではなく、都市の内容を問う趨勢が強まってきたことは好ましい成り行きとも言えます。2020年秋の19期五中全会は2035年までの目標として、①新型都市化をほぼ実現させる ②グリーン生産生活方式を広範に形成する ③都市と農村の地域発展格差と住民の生活レベルの差を縮小することを謳いました。②について、2022年8月に政府は<“十四五”全国都市インフラ建設プラン>を配布、2025年までに公共交通、歩道・自転車道などの割合をきめ細かく設計し、歩行や自転車に適した都市ではその比率が30%を下回らないようにすると同時に、全国の都市で公園緑地10万ヘクタール、グリーンロード2万キロを整備するとしました。
 一方、③に掲げられた都市と農村の問題について、習近平は「都市化は都市と農村の協調発展のプロセスであり、農村の発展がなければ、都市化はその基盤を失う」と指摘、「都市化や都市と農村の一体化は決して農村を都市に変えることではなく、都市と農村が互いの後押しをすることだ」と定義付けました。都市化の多用な側面については次回に詳しく。

次回は7月6日更新予定 テーマは<都市整備の話題-その2->です。

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