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第1078回 都市整備の話題-その3-

(2023年7月13日)

 前号の最後に触れた北京市の取り組みは、2014年以来、同市が継続して取り組んできた2ラウンドにわたる再開発計画を引き継ぐもので、その間、同市は2.4億㎥もの違法建築の撤去、3000社に及ぶ環境汚染企業の退出、1000カ所にわたる各種市場や物流センターの整備を行い、一方、高齢者向け食堂・公共駐車スペース・ミニ公園の設置といった民生面の配慮も充実させてきました。非首都機能の分散は、周辺に環境汚染を拡散させない原則のもとに、周辺地域も巻き込んだ再開発につながり、地域全体の向上にも寄与することになりました。
 2010年代初頭の都市化の波と最近の都市化の波の大きな違いはその内容の多様化でしょう。その筆頭がスマート都市化で、2021年からの第14次5ヵ年計画や2035年までの長期目標の中でもデジタル中国の建設が高らかに宣言されており、スマート都市の建設はデジタル経済建設の推進に不可欠なアイテムになっています。
 「商業都市」の建設という観点からはビジネス環境の整備が焦点になり、2021年11月に国務院が<ビジネス環境革新テストケースの展開に関する意見>を出し、企業の投資や起業を阻む市場の壁を打破し、経済成長に資することを目標に、テストとして北京・上海・重慶・杭州・広州・深圳の6都市を指定、10方面、100余りの項目を実施する方針を示しました。
 「住みよい都市」という観点はこれまでになく重視されています。道路沿いの露天の復活は住民の日常生活への利便性が高く、一時の画一的な禁止に対する見直しが始まっています。緑の生態環境・バリアフリー・ミニ公園・グリーンロード・歩行者天国の整備も近年各地で実施され、緑の生態環境では古木名木の管理にも力が入れられるようになり、ミニ公園は2022年に全国1000都市に整備する方針が示されました。総合的に見ると、都市を快適な生活スペースにするために、ショッピング・食事・託児・フィットネスといった様々な生活アイテムを15分歩行圏に整備することが大目標になっています。
 一方、近年の異常気象の多発は、中国の都市にも深刻な災害をもたらしています。そのため、「防災都市」も必須アイテムで、特に内水氾濫対策は急務になっています。こうした様々な改造の一方で、都市の持つ歴史や文化の保護・継承は、輝かしい中華文化の継承という、習近平の大眼目にも合致し、全面的な取り組みが始まっています。

次回は7月20日更新予定 テーマは<女性の活躍>です。

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