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第1079回 女性の活躍

(2023年7月20日)

 「女性は天の半分を支える」、中国に関わる仕事をしている人なら、一度はお目にかかる言葉。政治家で言えば、宋慶鈴は女性ながら1959年には国家副主席に、最後は国家名誉主席にもなりましたが、彼女の場合は孫文の夫人だったという特別な背景があります。
 胡錦濤・温家宝政権下の呉儀副首相は、環境問題・知財権問題、中医学の継承発展など様々な分野で高い指導力を発揮した、識見豊かな政治家で、内外から高い評価を受けましたが、科学分野では、2015年にノーベル・生理医学賞を受賞した屠呦呦が有名。また、ユネスコの女性科学賞を受賞した科学者は既に4名を数えています。そのほか、芸術文化スポーツなどでも多くの人材を輩出しており、日本に比べると、女性の社会進出とその認知ははるかに進んでいると言えましょう。
 では、問題はないかというと事情はそれほど簡単ではありません。中国で女性の権益を保障する法規は既に100本以上もあり、義務教育機関における男女差別はほぼ解消され、大学本科の在籍者に占める割合は半分以上が女性であり、社会全体の就業者に占める割合も2020年末で40%を超え、科学技術関係では45.8%にも達していますが、その一方で、まだまだ未解決の問題も少なくありません。
 2022年10月、政府は改訂婦女権益保障法を成立させ、2023年1月1日から施行するとしました。現行の保障法は1992年に承認され、2005年、2018年に改正されたものですが、今回の改正は2021年に国務院が配布した<中国婦女発展綱要2021-2030>などを承けたもので、政府は2021年末から1か月間にパブリックオピニオン42万3719本を集めました。その結果、一人っ子政策が2015年に転換し、さらに三人まで認めるようになった中で、女性の就職への差別や出産育児休暇・生理休暇の保障不足、農村女性の財産権未保障問題などが明らかになりました。2022年現在、全国31の一級行政区で男女平等評価システムが作動していますが、違反者の摘発や相当の処分が確実に行われているか注目されます。中国では女性に対するDVも2割前後と推定され、2015年には、反家庭暴力法が成立しましたが、この面での改善も期待されます。中国の女性年齢は2010年に77.4歳だったのが、今では80歳を超えました。男女平等問題は今後も人口問題と密接不可分な問題と言えるでしょう。

次回は7月27日更新予定 テーマは<中国の世界遺産にまつわる話>です。

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