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第1081回 養殖漁業最新情報

(2023年8月10日)

 第13次5か年計画終了時(2020年)の中国漁業経済統計によると、総額は2兆7543億4700万元で、その内、第1~3次産業の比率は49.1:21.5:29.4と、産業構造としてバランスの取れたものになってきています。そして総生産量6549.02万トンのうち養殖がなんと79.8%を占めるに至っているのです。
 2023年4月、習近平総書記は広東省を視察、「中国は14億余りの人口を擁する大国であり、食の問題をしっかり解決しなければならず、大地のみならず海洋にも食糧を求めるべきであり、海洋牧場、青い食糧庫を建設しなければならない」と檄を飛ばしました。
 こうした認識は近年、急速に具体化しており、各地で様々な取り組みが行われています。以前、中国では幼魚まで根こそぎ捕獲する漁業が蔓延、さらに、開発による自然な海岸線の激減で産卵地も奪われ、沿海漁業は資源が枯渇、替わりに行った過密な生け簀養殖による赤潮の大規模な発生にも見舞われました。こうした反省を踏まえ、近年、「海を耕す」自然に優しい海洋牧場への取り組みが各地で展開され、さらに深海養殖も始まるようになったのです。
 具体的な取り組みを見てみましょう。遼寧省大連では国レベルの海洋牧場模範区を25カ所建設、人工漁礁の投入、藻場の育成などを行い、各種の魚類を180億匹以上放流、優良品種の育種も行っています。海洋牧場は既に全国で300カ所以上あり、人工漁礁の投入量は5000万㎥に及んでいますが、2022年12月の<水生生物保護育成強化に関する指導意見>では、2025年までに国家級海洋牧場模範区を200個所程度建設するとしています。
 広西チワン族自治区の防城港市にも国家級海洋牧場模範区があります。マナガツオの養殖が盛んで、養殖企業9社が参入、売上高は年間10億元に達し、約2000人の雇用を創出しています。
 深海養殖試験区もテスト段階から生産段階に突入し始めています。黄海の海岸から120海里余り沖合にある青島国家深遠海緑色養殖試験区では、世界初の完全潜水式養殖設備「深藍1号」でアトランティックサーモンの養殖を試みていましたが、2022年6月、その収穫が始まりました。福建省連江県の定海1号プラットフォームも深海養殖がおこなわれていますが、いずれも最先端スマート技術が取り入れられており、今後、全国に広がることでしょう。

次回は8月10日更新予定 テーマは<農村生活の変貌>です。

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