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第1085回 長江デルタ一体化計画-その1-

(2023年9月7日)

 中国の地域発展が新しい展開を見せています。すなわち、複数の一級行政区を網羅した従来の経済圏の更なる高度化です。高度化とは、行政区画の垣根を取り払った新たな配置計画に基づく役割分担と協力一体化の推進で、環渤海湾経済圏の京津冀経済圏構想、珠江デルタ経済圏の粤港澳大湾区構想、長江上流経済圏の成渝経済圏構想はいずれもその先進的事例になっています。
 これに対し、長江デルタでも負けじと一体化構想を推進しています。そのスタートは早く、1992年には長江デルタ15都市協力部門主任合同会議制度が立ち上げられ、その後、1997年に長江デルタ都市協力会議に昇格、2008年には国務院から関連指導意見が、2016年には<長江デルタ都市群発展計画>が打ち出されました。2018年1月には交通エネルギー・技術革新産業・信用情報・環境保護都市・商務金融などの協力を扱う三省一市(上海市・江蘇省・浙江省・安徽省)の長江デルタ協力弁公室が開設され、それぞれに関する個別テーマ協力チームも設けられました。これに合わせ、上海市と江蘇省、上海市と浙江省の都市が地域の枠を超えた“城鎮圏”を形成する動きも盛んになり、同年の第18回主任合同会議が開催されるまでには、新型都市化、ビッグデータの応用、人材教育サービス、インテリジェントシティの発展、青年起業支援などを含む10の専門部会、9つの協力連盟が成立しました。民間でも、三省一市の25の国家レベルの双創(“创新创作”)モデル基地が「長江デルタ双創基地連盟」を設立、企業同士の協力に道を切り開きました。こうした動きを受け、同年11月には<長江デルタのより高度な一体化発展を支持し保障する決定>がそれぞれの人民代表大会常務委員会で承認されたのです。
 広範な地域の一体化にはそれぞれの地域発展プランとの整合性も欠かせません。当時、長江デルタの16の都市において、自動車を重点産業としているのが11都市、石化産業は8都市、電子情報は12都市と、重複が目立っていました。そのため、重複する企業同士の協力や合併再編もまた急務になっていました。
 2019年12月、政府は壮大かつ詳細な<長江デルタ一体化発展計画綱要>を正式に発表しました。全12章にわたるこの綱要はどんな内容か、それは次回に。

次回は9月14日更新予定 テーマは<>です。

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