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第1086回 長江デルタ一体化計画－その２－
(2023年9月14日)
＜長江デルタ一体化発展計画綱要＞は12章からなり、第三章「地域の協調発展における新しい枠組み形成の促進」では、地域内の連動を強化し、都市圏の一体化加速、都市と農村の融合発展、枠を超えた地域の共通発展とその結果の共有が、第四章「協同イノベーション産業システム建設強化」では、イノベーション共同体の構築や産業分業協力の強化、産業とイノベーションの高度な融合が謳われました。さらに、第五章「インフラの互通レベルの向上」では、具体的に、総合一体化交通システムの建設、デジタル長江デルタ建設協力、各区域を超えたエネルギーインフラ建設の推進協力、省の壁を越えた重大水利プロジェクト建設の強化が、第六章「生態環境保護と共通の対策」では、生態保護・環境対策や生態環境の監督管理での協力が謳われました。その他、標準化された便利な公共サービスや高度な教育・医療の共有、文化観光発展の協力、国際的にみて一流のビジネス環境の構築も掲げられ、さらに上海自由貿易区の発展を加速させ、「長江デルタの新たな改革開放」というステージを牽引することも明示されました。同綱要のカバーする地域三省一市は計35.8万㎢で、ほぼ日本の総面積に当たります。中心地域は一級行政区の上海市に、江蘇省の南京・無錫・常州・蘇州・南通・揚州・鎮江・塩城・泰州、浙江省の杭州・寧波・温州・湖州・嘉興・紹興・金華・舟山・台州、安徽省の合肥・蕪湖・馬鞍山・銅陵・安慶・滁州・池州・宣城を加えた27都市で構成されています。
具体的な内容をみると、常住人口の都市化率を70％以上にし、平均寿命79歳を目指す、科学技術の寄与度を65％に高め、ハイテク産業の生産額の一定規模以上の工業生産額に占める割合を18％以上にするなど、様々な数字が掲げられています。注目される産業分野での連携では、電子情報・バイオ医薬・航空宇宙・ハイエンド装備・新材料・省エネ環境保護・自動車・グリーン化学工業・紡績服装・スマート家電という十大領域での国家的新戦略産業基地形成、集積回路・新型ディスプレー・ＩｏＴ・ビッグデータ・人工知能・ＥＶ・生命健康・大型飛行機・スマート製造・先端新素材という十大重点領域へのフォーカス、未来産業として、量子情報・ニューロチップ・第三世代半導体・次世代人工知能・ターゲティング薬・免疫細胞治療・漢細胞治療・遺伝子検査の八大産業の育成を挙げています。続きは次回に。
