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第1087回 長江デルタ一体化計画-その3-
(2023年9月21日)
最近の動きを見てみましょう。2023年2月、<長江デルタ生態緑色一体化発展モデル地区国土空間全体計画(2012-2035)>が国務院で承認され、モデル地区の計画・建設・対策について基本的な根拠が示されました。対象となるモデル地区は上海市青浦区、江蘇省蘇州市呉江区、浙江省嘉興市嘉善県で、総面積は2413㎢、その内、金沢・朱家角・黎里・西糖・姚荘の五つの鎮660㎢が先行地区に指定されました。この計画には、耕地の保護、生態環境、都市と農村の配置、歴史文化的な特色ある景観、公共福祉、インフラに関する発展戦略や守るべきボトムライン、地域協力事項などが含まれています。目標としては、例えば、2035年までにモデル地区の耕地保有量は7660万ムーを下回らないこと、都市開発面積は647.6㎢に抑制することとし、自然保護面では、川や湖など水面率は20.6%を下回らないこと、森林被覆率は12%以上とすること、都市汚染水収集処理率、水機能区水質合格率は100%にする、といった数値が盛り込まれ、また、江南運河、太湖-黄埔江、嘉興-吴淞江という三本の歴史文化ベルトの構築も計画されています。一方、交通インフラの整備も進んでいます。2022年末、長江デルタ鉄道営業キロ数は1.37万㎞、その内高速鉄道は6700㎞、全国の6分の1を占めました。これにより、長江デルタ内の地級市間は3時間で、省内の地級市間は2時間で、隣接する地級市間は1時間で結ばれるようになり、さらに2025年には高速鉄道が9500㎞に達し、長江デルタの鉄道網の密度が1万㎢あたり507㎢に達し、各地域を繋ぐ体制がほぼ完成する見込みです。水運でも、長江デルタ港湾群のコンテナ扱い量は全国の38%を占めています。また、地域内の公共バス路線は架橋の建設などが進んで61本に達し、その内、上海-江蘇間は18本、江蘇-安徽間は19本、江蘇-浙江間は10本、上海-浙江間は9本、浙江-安徽間は5本を数えるに至りました。
分野別の協力はあらゆる面に及んでいます。2020年以降だけを見ても、環境関係法規執行連動システム、電力網の省間送電配電の推進、省間水供給・排水プラン、農産物生産加工の協力、人工知能産業連盟の成立など様々ですが、特に公共サービス面では、2022年に第二弾として衛生健康・医療保障・教育・養老・行政サービス・総合アプリなど6大領域13項目が発表されました。こうした省を超えた協力構想は今後さらに全国へと広がるでしょう。