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第1093回 ロボット業界の発展
(2023年11月2日)
以前、中国政府は<ロボット産業発展プラン(2016-2020)>で、2020年達成目標として、①3社以上の国際的リーディングカンパニーの育成 ②5つ以上のロボット関連産業集積群の形成 ③ハイエンド市場における中国企業占有率50%という目標を掲げ、その実現のために、政治・産業・学校・研究機関・実用・融資が六位一体となった国家的ロボットイノベーションセンターを構築、AIとバーチャルリアリティを看板とした新しいITロボット技術の開発に邁進するとしました。その後の状況はどうでしょうか。2020年6月、上海市スマート製造特色産業パーク推進大会は、国際的な最高規準・最高レベルを目指した<模範的完全自動化工場100カ所建設特別プロジェクトプラン(2020-2022)>を発表、5方面からなる15項目の重点措置を示し、1万台の工業用ロボットと300億元の新規投資を投入、生産効率を20以上アップするとしました。翌2021年9月に発表された<中国ロボット産業報告>によると、2021年の中国ロボット産業市場規模は445.7億元に達し、2016-2023年の平均成長率も18.3%が見込まれました。
ロボットと言っても、その応用領域は、工業用・サービス用・特殊用に分けられます。これらを総合すると、中国のロボット産業の規模は、2020年時点で1000億元を突破し、中でも工業用ロボットは2020年まで8年連続世界一の消費国になっています。2021年、北京で世界ロボット大会が開催され、様々な先端ロボットが紹介されましたが、中国企業の成果も目覚ましく、力昇社が精華大学と共同開発した消防ロボットは1000度cの環境内で30分以上活動が可能で、消防第一線での活躍が期待されます。また、博雅社の水面下清掃ロボットは、船底に発生した藻を高圧ジェット噴射で除去できるとのこと。もちろん、海上の生け簀にも応用可能です。このほか、特殊なドローンや深海作業用ロボットなど、中国が世界の最先端を占める分野も増えています。
とはいえ、中国のロボット産業は、全体として、素材・コア器材・加工技術などではまだまだウイークポイントを抱えており、例えば、工業用ロボットにおいては、自主ブランドと言っても組み立てやOEMの部分が多く、ハイエンドとは程遠い状況です。<「第14次五ヵ年計画」産業ロボット発展計画>は、まさにこの点の克服を課題として掲げており、2025年には、工業用ロボットの密度を2020年から倍増させると同時に、エネルギー・物流・医療・介護・教育・災害救助・環境対策などサービス用、特殊用へと広く深く発展させることを目指しています。