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第1097回 庶民生活の変化-その1-

(2023年12月5日)

 庶民の生活は、コロナによる都市封鎖が解除されても、なかなか元通りにはならず、またさまざまな新たな変化も起こっています。最近の様子を概観してみましょう。
 最近よく見る言葉が“一刻钟便民生活圈”即ち「15分圏内での便利な生活圏 」の形成。2021年、商務部は「都市“一刻钟便民生活圈”建設指南」を打ち出し、「2025年までに“百城千圈”を整備し、合理的に配置され、業態配置が十全で、機能が完備され、スマートな利便性を備え、秩序が保たれ、サービスに優れ、商業エリアと住宅エリアが調和した生活圏を形成する」としました。一方、中央弁公庁と国務院弁公庁は同年、<農村居住環境整備向上5ヵ年行動プラン(2021-2025)>を配布、浙江省が実施した“千村モデル、万村整備”プロジェクトの経験に倣って、農村トイレ革命、生活汚水とゴミの処理、農村の景観向上を重点的に推進することを打ち出しました。
 こういった政策に合わせ、各地方でも様々な取り組みが行われており、例えば、安徽省の蕪湖市では、「15分フィットネス圏」、「15分商業貿易サービス圏」、「15分医療保険サービス圏」、「15分読書圏」など様々なアイテムを打ち出しています。例えば、「15分養老サービス圏」では、市内に80カ所の“社区”(地域コミュニティ)養老サービスセンターが設けられ、15分以内で食事、デイケア、リハビリが受けられるようになりました。
 全国でも最も早くこの運動に取り組んだ地区のひとつ、北京市石景山区では、野菜の小売り、コンビニ(スーパー)、朝食店、お手伝い、美容、宅配、修理、クリーニンといった8項目を基本的な住民サービスアイテムとしてネットワークを展開し、その拠点数は8項目計1778カ所に及んでいます。
「都市“一刻钟便民生活圈”」では、政策が打ち出されてから2年経った2023年5月までに80のモデル地域で1400カ所の“一刻钟便民生活圈”が建設され、網羅する住民数は3200万人余りに達し、今後は全国的に展開されていくことになります。その基本精神は“缺什么,补什么”「足りないものは何でも補う」で、庶民の生活にもっとも身近なアイテムを満足させるところにあります。1980年代半ば、個体企業経営が認められて出現した露店や修理業などが都市の整備とともに姿を消し、庶民生活を不便にしましたが、漸く振り子が戻り始めました。次回は具体的な個別の事例を紹介しましょう。

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