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第1098回 庶民生活の変化-その2-

(2023年12月14日)

 庶民生活のサポートという側面では、いくつかの新しいシステムが整備されつつあります。その一つがデジタル面でのサポートでしょう。例えば、2021年12月から全国的に展開された運転免許証の電子化は、わずか一年で1億4000万発行されました。交通事故を起こした際に免許証を携帯していなくても、「交管12123」アプリで電子免許証を申請すれば、スムーズに自己責任の認定と損害賠償手続きを終えることができます。情報システム内の写真データを共有することで写真を改めて用意する必要もなく、一方で、紙の免許証がなくなれば、偽物の鑑別に労力を費やする必要もなくなります
 スマホなどの操作が苦手な高齢者がなかなかタクシーを捕まえられないという悩みに対して、最近、上海などでは、ボタン一つでタクシーを呼べるような電話ボックスのスマート化が推進されています。また、日本ではよく地下鉄の出口などに近隣地図の看板がありますが、中国では、スマホ上に「朝食地図」がお目見えして話題になっています。日本人と違い、中国人は朝食を外で済ます人が圧倒的に多く、朝食の取り方も、“自助餐”と呼ばれるセルフサービス食堂形式、自動販売形式、ドライブスルー形式、地域食堂形式などと多様化しており、その需要に対応したものと言えます。
 もちろん食事だけではありません。2021年、商務部は<コンビニのブランド化・チェーン化三年行動展開に関する通知>を出し、地域社会や商店・病院・大学・オフィスビル・駅などへ進出するとともに、売り場面積も増やし、品ぞろえを豊かにするようコンビニに奨励しました。これに応じ、北京では地下鉄内にコンビニができ、弁当・サンドイッチ・サラダ・寿司などの食品や、マスク・傘・充電器・雑誌や新聞なども売るようになりました。
 こういった動きは農村にも広がっています。中国では、既に2005年頃、薄熙来が商務省の長官だった時代に万村千郷プロジェクトと称する農村へのスーパー展開が始まりましたが、最近の新たな変化は大型スーパーの出現。しかもその品ぞろえにおける新たな特徴として、地産地消の急速な発展が挙げられます。農村部の交通網が整備されたことにより、農村の合作社からの物流配送システムが整備され、それに合わせて県レベルから村レベルまで大小のスーパーが出現し、雇用の面でも無視できない役割を果たすようになりました。
庶民生活を便利で豊かにしようという取り組みは全国に広がっています。

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