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第1099回 農村システムの問題-その1-

(2023年12月21日)

 19全大会で習近平第二期政権がスタートした2017年前後、中国の農村では、貧困脱出を旗印に農業の産業化が声高に喧伝され始めましたが、そこで掲げられた主要なテーマが、農村の集団経営体制の改造発展と、産業化を支援する金融体制の整備でした。
 早くも2015年には、政府が<農村の第一~三次産業融合発展に関する指導意見>を発し、それこそが農民増収の重要な道筋であり、現代的農業システムを構築する重要な措置である、とし、具体的には、新型都市化を推進し、農業構造の調整を加速化させ、農業の産業チェーンを伸ばし、農業の多用な機能を開拓し、新たな農業形態を大いに発展させ、産業の集積と発展をリードし、タイプの異なる農村産業の融合スタイルを発展させるとしました。そして、農民合作社と家庭農場の基礎的役割を強化し、リーディングカンパニーが先頭に立って模範を示すよう支援し、供銷社(農村の購買販売協同組合)の総合的サービス機能を発揮させ、産業協会・産業連盟を積極的に発展させ、民間資本の参入を促し、多元化された農村産業の融合主体を育成することを掲げました。
 翌2016年、第13次5ヵ年計画スタート時点で見ると、全国の農民合作社は174.9万社に達し、その内、東部が31.8%、中部が27.5%、西部が28.3%、東北部が12.4%を占め、また、分野別でみると、栽培業が53%、養殖業が28%、サービス業が8%を占めていました。当時の合作社の構成員は多様で、一般農家が86.7%を占め、200万の大規模専業農家や家庭農場、さらには農業企業や民間団体50万社を含んでいました。しかし、同時に、こういった発展をサポートする金融システムは、組織が単一で競争力に欠け、農村の資金需要への対応としては、融資条件が厳しいなど様々な問題がありました。農村では信用を如何に担保するかが難しく、また、民間金融の取り締まりが不十分、といった問題もありました。そもそも金融機関に“嫌貧愛富”「貧乏人には貸したがらない」という風潮が蔓延していたのです。したがって、これ以後、いかにして農村における整備された融資システム、基礎的な金融サービス供給網の建設が喫緊の課題となったのです。
<農民専業合作社法>が制定されて以来10年を経た2017年7月、農民合作社の数は前年から20万社近く増加して、193.3万社に達し、参加農家数も全国の農家の46.8%と1億を超え、一戸当たりの収入は、非参加者を20%も上回るようになりました。

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