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第1100回 農村システムの問題-その2-

(2023年12月28日)

 2017年4月、汪洋副首相は北京で開催された農業信貸担保工作会議で、“三農” (農業・農村・農民)の融資問題を解決するため、農業融資担保システムの整備を強調し、これに応じて各主要銀行も金融事業部の改革に取り組みました。各地域でも、農民がサービスを受け取りやすいようにするインフラ整備が急ピッチで始まりました。例えば、広西チワン族自治区では、同年2月時点で既に地域全体の7951カ所に三農金融サービス室を整備、行政村の56.19%をカバー、資金受け取り所も21490カ所に達し、すべての行政村をカバーしました。同区では信用システムの構築も進み、2016年末にはもう4つの信用県があり、さらに322の信用郷鎮、4293の信用村、372万戸の信用戸(それぞれのレベルでの達成率は28.9%、30.4%、35.7%)が出現し、こうした動きは全国に広がっていきました。
 中国人民銀行が2019年に発表した<中国普恵金融指標分析報告>では、2018年末で、全国銀行支店網の郷鎮カバー率は96.3%に達しました。一万人当たり1.65カ所という計算になります。
 2020年末、農民合作社の数は224.1万社になり、その業務範囲もレジャー産業やアグリツーリズムに1.3万社、郷土工芸品や特色産業に2000社余りと多様化し始めました。また、生産と販売を一体化した合作社も過半数に達し、ECに取り組む合作社は4万社を数えました。この動きは全国的に見られ、同年時点で、農村EC拠点は14万か所に、EC公共サービスセンターや物流配送センターも2000カ所余りと増加傾向が顕著になりました。これすなわち、農村のネット消費が盛んになった事を示しており、実際に2020年は前年比でネット消費額が8.8%の伸びを示しました。
こうして、産業としての農業の発展が進むにつれ、農業保険の未整備も話題に上るようになりました。2019年、政府は<農業保険の質の高い発展を加速させることに関する指導意見>を発し、これまでのボトルネックを打破する姿勢を示しました。近年、中国でもグローバルな気候変動の影響を受け、食糧安保を推進する上でも、農民の生産活動を保障するシステムの構築が急務となったのです。もちろん、中国の農業保険は、既に規模としては世界第二位になっていたのですが、その内容は国際的水準とは大きな開きがありました。
この続きはまた新年に。

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