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第1124回 家電業界の話題

(2024年6月20日)

  経済の低迷は、2023年の中国の貿易にも顕著な影響を与えています。家電に目を向けると、内需不振のため、CPI(消費者物価指数)の中で、家電類は2月以降、前年同月比割れが続き、企業は在庫減らしのため安値の輸出に走り、価格は一割下落しました。こうした状況に対処するにはどうしたらよいのでしょうか。
 習近平政権が第二期に入った2017年までの段階で、中国の家電市場規模は1兆5805億元に達し、一方、国内ブランドの全体に占める割合も、クーラー87.7%、カラーテレビ72.2%、冷蔵庫68.8%、洗濯機56.6%といずれも過半数を突破していました。また、国内スマート家電市場では、テレビで90.4%を占め、クーラー、洗濯機でも20%を超えました。輸出も盛んになり、当時の地域別輸出先では、EU向けが439.6億元ともっとも多く、次いで中東向けが291.2億元、日本向けが266.8億元と続き、また、EU、ASEAN、インド向けが二桁の伸びを示していました。
 しかし、2020年以降、経済が低迷するにつれ、家電業界は新たな対応を求められました。政府は2022年に<緑色スマート家電消費を促進することに関する若干の措置>を打ち出し、中古品市場を育成しつつ、政府と企業が協力して買い替えを促進してスマート家電の購入を促進する一方、緑色スマート家電の農村市場開拓も推進しました。しかし、その結果は、家電市場小売額の規模は前年比で7.4%減少し、中国家電業界の営業収入は1.75兆元(前年比1.1%増)という微増に止まりました。
 こうした状況下、中国家電の活路をどこに見出すのでしょうか。習近平が打ち出したのは“新質生産力”の開発です。技術革新で消費者の多様化するニーズにこたえられるスマート家電の開発を積極的に進めることに活路を見出そうとしているのです。これに応え、各企業も本格的な取り組みを始めました。例えば、テレビの世界シェア第二位を誇る海信(ハイセンス)は、日本の空調大手サンデンを買収するなどスマート力増強に力を入れ、研究費も倍増させています。また、エアコン大手の格力も、従来は自宅で洗えなかったウールやシルクの製品を洗濯可能にするなど、新技術の開発に余念がありません。山東省青島市では2200社余りの企業、52の国家レベル研究開発機関などを集積させたスマート家電群を形成、家電産業のハイエンド化、スマート化、シナリオ化を目指しています。

三瀦先生のコラム